漫画家松本零士氏(73)幻の未公開シナリオが発掘され、約30年を経てテレビアニメ化されることが11日分かった。タイトルは「オズマ」で、砂の海に覆われ荒廃した未来の地球が舞台のSFものだ。WOWOWで開局20周年記念番組として、3月16日から6話(金曜深夜0時)放送される。

 松本氏は80年代に「オズマ」の大まかなプロット(構成)を書いたが、アニメ化に至らなかった。今回、WOWOWから、開局20周年企画として作品をアニメ化したいと熱烈なラブコールを受け、封印を解いた。

 約30年前のプロットながら(1)太陽の異常活動が大気を破壊し、生態系に異変が起きた地球(2)DNAの破壊で出生率が劇的に低下し、政府が優秀なクローン「IC」をつくり、ICによる統治組織体を形成、など未来の地球を予見するようなリアルな設定で、テーマは「限りある命の時間との闘い」だ。松本氏は「命に限りがあるからこそ、元気のあるうちに何かを成し遂げたい思いがある。思いは永遠に伝わり限りがないから、次の世代へ伝えていくのが役割」と語った。

 07年にTBS系で放送された「銀河鉄道物語~永遠への分岐点~」以来、5年ぶりの新作アニメを制作する動機について、松本氏は東日本大震災や地球温暖化など地球規模で災害、変化が相次いだことを上げた。

 松本氏

 震災で世界中の人たちが救援活動をしてくれた。お互いの立場で助け合い、力を合わせることが人類の責務です。

 「装甲騎兵ボトムズ」の高橋良輔氏が総監督、「ONE

 PIECE」の武上純希氏が脚本と豪華制作陣も集まり、新時代の“松本SF”が完成した。【村上幸将】

 ◆オズマ

 砂漠で交易を営む「砂賊」のサム・コインは、兄のかたきである謎の超巨大移動物体「オズマ」を追い求めていた。サムはある日、優秀な能力を保有するクローン「IC(アイディアル・チルドレン)」の軍隊「シーシアス」の砂上駆逐艦に追われる美しい女性マヤを救出し、オアーゼ港に停泊する砂賊船バルダノスに連れて帰った。ところが圧倒的な戦力を誇るシーシアスの砂上駆逐艦に包囲され、抵抗する間もなく照準を向けられる。

 ◆松本零士(まつもと・れいじ)本名・松本晟(あきら)。1938年(昭13)1月25日、福岡県久留米市生まれ。高校1年で「蜜蜂の冒険」でデビュー。56年末に上京し、71年に「男おいどん」がヒット。代表作に「クイーン・エメラルダス」(75年)「銀河鉄道999」(77年)「宇宙海賊キャプテンハーロック」(77年)など。09年に画業55周年を記念し、オールカラーの書き下ろし「Out

 of

 Galaxy

 銀のコーシカ」を999部限定で出版。