<NHK紅白歌合戦>◇12月31日◇NHKホール

 紅組司会の綾瀬はるか(28)が持ち前の天然ぶりを発揮した。冒頭から、ハラハラ、ドキドキさせながらも、泣いて笑って、頑張って、大役を全うした。

 開始早々、トップバッター浜崎あゆみの紹介時に「ハイ、ハイ」と相づちは打つものの続く言葉がなかなか出ないピンチ。NMB48の紹介では「NMB」をとちって言えなかった。天童よしみの曲名を一瞬忘れたり、美輪明宏の話の途中、遮るように進行する場面もあるなどハプニング続き。それでも発音が難しい「きゃりーぱみゅぱみゅ」は「大丈夫です」と言って何とか言えた。独特の間(ま)とミスした後に見せるチャーミングな笑顔。審査員の阿川佐和子さんから「とても魅力的」と言われるなど進行役ながら盛り上げのキーマンになっていた。

 大震災復興支援ソング「花は咲く」を歌う企画コーナーで被災した子供たちを思い、大粒の涙をこぼして歌った。歌唱前、主演した大河ドラマ「八重の桜」の舞台福島を訪ね、被災地の子供たちと触れ合った映像が紹介された。「つらい境遇でも夢をいただき…」と言葉を詰まらせた。会場から「頑張れ~」と声援を受けながら「子供たちの夢はいつかきっと花開くと信じて」と泣きながら歌い始めた。前日30日のリハーサルは緊張で涙ぐんでしまい、うまく歌えなかった。この日も涙はこぼれたが、音程は外すことなく歌いきった。歌唱後は大きく息を吸い、ニッコリと笑った。最後まで視聴者をドキドキさせながらも完走した。「終わって寂しい。あっという間でした。来年もまたやりたい」。最後も笑顔で締めくくった。【中野由喜】