<連載「気になリスト」(73)>

 10年ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリに輝いた俳優上遠野太洸(かとおの・たいこう=21)が、ニューヨークの男性だけの女装バレエ団「グランディーバ」の日本公演(4月9日、横浜・関内ホールでスタート)に主演する。

 イケメンがバレエの衣装のチュチュを着て踊る。既にニューヨークに渡り、バレエの特訓を受けてきた。「王子役なんですけど、女性の格好で『白鳥の湖』のジョーク版を踊ったりするんです。楽しいんですけど、すごく大変でした」。

 ジュノン・スーパーボーイに挑戦するきっかけは、母親だった。「友達とお茶をしているときに『息子さんを出してみたら』って勧められたみたいで。僕は高3で、教師になりたくて、受験勉強してたんですけどね。書類が通って、面接をすっぽかすのも申し訳ないと、初めて上京しました」。気付いたら、応募1万5132人の頂点に立っていた。「いい記念になればと思ったんですけどね。実感はわきませんでした」。本当の苦労は、その後にやってきた。「お芝居の経験がなかったので、最初はとにかく恥ずかしかった。経験がないのに怒られて『なんで怒られてるんだ、俺』なんて思ってました。今は、もう大丈夫です」。

 仙台に生まれ育ち、上京の直前に東日本大震災に見舞われた。「実家は山の方で大丈夫だったけど、友達には家が流されたり、亡くなった人もいた。そういうこともあるから、頑張らなくちゃいけないと思っています」。

 目標とする俳優は香川照之(48)で、「役者としての演技の幅がすごく広い。思わず引きつけられて、見入ってしまう」と憧れを口にする。「自分も演技の幅を広げていきたい。今まで純粋で真っすぐな役が多かったから、悪い役にも挑戦してみたいですね」。白鳥になることも、その目標に近づくためだ。【小谷野俊哉】

 ◆上遠野太洸(かとおの・たいこう)1992年(平4)10月27日、仙台出身。11年舞台「劇男JB」で俳優デビュー。同年フジテレビ系「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」。12年映画「グラッフリーター刀牙」。現在、テレビ東京系「おはスタ」(月~金曜午前6時45分)の水曜レギュラー。171センチ。A型。