NHKが、米国のディズニー・アニメーション・スタジオに世界で初めて長期密着を許され、秘密を探る特集番組が組まれたことが3日、分かった。「魔法の映画はこうして生まれる~ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション」と題し、総合で24日午後7時30分から放送される。

 ベールに包まれたディズニー・アニメの最深部に切り込んだ。今年の東京国際映画祭オープニング作品「ベイマックス」の製作に密着。ディズニーは物語を作り、描いた絵に音やセリフを仮で入れたものを全編作り、製作スタッフ全員で見た後、関係者しか入れない会議を開き、修正点を見つけては作り直しを繰り返す。それが、「アナと雪の女王」などの大ヒット作を生み出す術で、会議にカメラが入るのも初めてだ。

 2012年11月に、同スタジオのチーフ・クリエーティブ・オフィサー、ジョン・ラセター氏(57)に取材を依頼した。NHK側は、同氏と親交の厚いスタジオジブリ宮崎駿監督(73)の番組を13本放送した実績があり、昨年8月に「プロフェッショナル

 仕事の流儀

 スペシャル

 宮崎駿のすべて~“ポニョ”密着300日~」(08年)の映像を送付。同氏から「こういう番組ならOK」と撮影を許可された。

 ラセター氏は「となりのトトロ」(88年)を製作中のスタジオジブリを初訪問以降、宮崎監督と親交を続けている。同氏から「最も大きな影響を与えた1人。並外れた想像力と創作力の持ち主」と称賛される宮崎監督も「本当に大事な友人。彼は一貫して父親として恥ずかしくないものを作ることを踏み外さずにやってる」と話している。

 番組では2人が2年前に京都を訪ねた模様も紹介。北山の山間を散策した際、同氏が「(『となりのトトロ』に出てくる)猫バスの停留所はどこにあるんですか?」と聞くなど、日米アニメ界トップの交流を示している。

 ◆ジョン・ラセター

 1957年1月12日、米カリフォルニア州ハリウッド生まれ。カリフォルニア芸術大卒業後、ディズニーへ入社も3DCG作品の製作を訴えたことに反発を受けて84年に解雇。ルーカス・フィルムに移籍後、86年に同社のコンピューターアニメ部門が独立したピクサー設立に参加。88年に「ティン・トイ」で3DCG作品で初のアカデミー短編アニメ賞受賞。06年にピクサーを買収したディズニーに復帰し、両社のチーフを兼務。