宝塚で初めてミュージカルとなる「ルパン三世」の舞台は、フランス革命の時代。脚本・演出の小柳奈穂子氏の発案で劇団おなじみの「ベルサイユのばら」の時代にルパン一味がタイムスリップする。

 小柳氏

 正月だし、明るく、楽しく。新春初笑いで。ドリフターズの世界観とか、和製ミュージカル狸御殿のイメージです。

 昭和を代表する「ザ・ドリフターズ」の理屈抜きの面白さ、故美空ひばりさんらの映画でも知られるコメディーの傑作「狸御殿」シリーズを原点とした。問題は、アニメならではの軽妙なアクション。今夏公開の小栗旬主演映画では銃撃戦が描かれたが、宝塚では銃撃戦も華々しくは描けない。

 小柳氏

 盗み方の動きが現実的じゃないし、ルパンはモーションの面白さがある。カーチェイスやへリでバタバタバタッと現れたり。宝塚では舞台装置を極限まで使うしかない。宙づりもない。そういう意味では、早霧は動く人。走って、動いたときに生き生きするタイプなので、早霧でよかったと思います。

 映像も盛り込み、盗みの臨場感を出す。

 小柳氏

 あのテーマ曲も使えるので、ずいぶん、雰囲気が出る。せっかくなので、何カ所かで使います。

 映像、音楽で盛り上げ、二枚目の中に三枚目を持つ早霧の軽妙さに掛ける。

 早霧

 最初、私にルパンが合うって、謎だったんですけど、けいこを始めて納得しました。「あっ!

 近いんだ」って。

 劇団きっての美形。女性を感じさせない細身のスタイリッシュさが、早霧の魅力だが、「JIN-仁-」の坂本龍馬や、「ハウ・トゥー・サクシード」のバドで見せたコメディエンヌぶりも劇団随一だ。

 早霧

 三枚目には、なんのちゅうちょもない。じゃないと、ルパンじゃないでしょう。ただ、そこが悩みどころです。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「ルパン三世

 -王妃の首飾りを追え!-」(原作=モンキー・パンチ、脚本・演出=小柳奈穂子)

 ▼兵庫・宝塚大劇場

 来年1月1日~2月2日

 ▼東京宝塚劇場

 

 

 

 

 2月20日~3月22日

 ◆「狸御殿」

 木村恵吾原作の「オペレッタ喜劇」を源流とし、1939年に第1作公開の記録がある。後に、美空ひばり、若尾文子らのシリーズも製作され、2005年には鈴木清順監督で、チャン・ツィイー主演映画が公開された。鈴木氏は日活専属監督として、小林旭、高橋英樹、宍戸錠らの主演作を手掛けており、今回ルパンを演出する小柳奈穂子氏は鈴木氏のファンだという。