今年最も愛された曲の1つだ。シンガー・ソングライター秦基博(34)が歌う「ひまわりの約束」。興収83億円の大ヒットを記録した映画「STAND

 BY

 ME

 ドラえもん」の主題歌で、カラオケランキングも長く上位をキープしている。曲に込めた思いなどを秦に聞いた。

 シングル「ひまわりの約束」は8月の発売以来、配信のiTunesで16週連続でトップ10入りを果たし、年間ランキングも松たか子の「レット・イット・ゴー

 ~ありのままで~」に次ぐ堂々の2位に入った。カラオケ週間ランキング(LIVE

 DAM、11月30日~12月6日)も2位。主題歌となった映画も625万人の観客動員を記録。多くの人に歌われ、多くの人の耳に届いた曲だ。

 秦も反響の大きさに驚いている。「学校で歌われているという話をよく聞きます。知り合いから、自分の子供が歌っている動画をたくさん見せてもらいました。道端で『ドラえもんの人』と声を掛けられることもあります。今までの自分の曲ではなかった反応なので、すごく印象的で、キャリアの中でも代表的な曲になったと思います」。

 アコースティックギターの音色にのせて、ナイーブな歌声が響く。ドラえもんとのび太の心温まる友情を思わせる歌詞も、「せつなくて感動する」などとネット上に書き込まれている。「ドラえもんとのび太のように、いいことも悪いことも、同じように感じられる距離感を持った間柄を書けたらと思いました」。

 06年のメジャーデビュー以来、伸びのある歌声と感性豊かな歌詞やメロディーで注目されてきた。日本中で長く愛されてきたドラえもんと向き合い、自分なりの挑戦もあった。「幅広い世代の人、特にお子さんに触れる機会が多い曲になると思っていたので、今までの曲に比べて、なるべく分かりやすい言葉を選ぶようにしました。伝えたい世界観がきちんと構築できたんじゃないかという手応えがありましたが、それが結果としても戻ってきて、自分がいいと思った音楽を作っていくということに自信が持てました」。

 映画は世界59カ国で公開が予定されており、国境を超えて曲が届く。「独り歩きというか、どんどん自分の手から離れていくのはうれしい。自分が作った曲が、どんな風に外国の方に受け入れられるのか想像できないので、本当に楽しみ。急に、ある国でスターになってたらいいですね」と笑う。

 今年はアコースティックライブの開催や初のベストアルバム発売など転機でもあり、原点を見つめ直した年でもあった。「『ひまわりの約束』はアコースティックで、自分の中では真ん中にある曲調。そこからまたどうやって自分が表現を広げていけるか、向き合っていくための1年だった。この曲で自分を知ってくださった方も多く、あらためて秦基博の音楽を知っていただける機会があった時、いい球が投げられるように来年も大事な1年にしたいです」。【大友陽平】

 ◆秦基博(はた・もとひろ)1980年(昭55)10月11日、宮崎県生まれ。06年シングル「シンクロ」でメジャーデビュー。「アイ」などが代表曲。今年10月に発売した初ベストアルバム「evergreen」は日本レコード大賞の企画賞を受賞。今月24日に「ひまわりの約束」デラックス盤を発売する。血液型A。