宝塚歌劇で初ミュージカル化される「ルパン三世」は101年に突入する劇団の挑戦でもある。

 小林公一理事長

 101年目、新しい世紀に入り、その1歩が大事。宝塚の新しい王道作品ができれば、と。

 5年前から企画があり、配役に悩んだが、細身で軽妙演技に定評のある雪組新トップスター、早霧せいなの誕生で実現した。

 小林

 ルパンは非常に明るく、理屈抜きに楽しい。正月作品だし、明るく楽しいルパンというのも決め手になりました。

 近年は大劇場の本拠地作やバウホールなどの公演で、人気ゲーム「逆転裁判」、SF小説「銀河英雄伝説」など、意外作も多い。「銀河-」は12年、理想的な8頭身スタイルで長身、中性的な美貌の凰稀かなめが宙組トップに就き、お披露目作とした。

 小林

 ジャンルにこだわらず、いろんな挑戦をしたい。出し物も、新しいオリジナルをどんどん生み出していきたい。

 劇団代表作には「風と共に去りぬ」「エリザベート」など海外作品をもとにした演目と、ルパンと同じく漫画を題材にした「ベルサイユのばら」がある。多くの宝塚版オスカルが生まれたが、将来、2代目、3代目ルパンの誕生もあるかもしれない。

 小林

 100年の伝統を守り、次世代に新しいものをバトンタッチしていきたい。新しい王道の作品も生み出さないと。

 劇団の期待は早霧にも届いている。

 早霧

 (私に)かかってますよね~。正直、再演のことまで考えませんが、それでも(自身の)代表作になればと思っています。

 かつて「エリザベート」も、死に神を主役に配し賛否両論の船出だったが、主演一路真輝が好演。いまや、劇団代表作のひとつになった。「ルパン三世」も宝塚新世紀へ試金石になりそうだ。(おわり)【村上久美子】

 ◆宝塚の異色コラボ

 09年、当時宙組の蘭寿とむ(前花組トップ)主演で、人気ゲームソフト「逆転裁判」を舞台化。ゲーム題材の作品は初めてだった。同年に続編、昨年は宙組の悠未ひろ(既に退団)主演で第3弾まで上演。12年には銀河系を舞台にしたSF小説で、後にアニメ、漫画、ゲームでも人気が爆発した「銀河英雄伝説」を舞台化。宙組トップ凰稀かなめのお披露目作とした。今年8月に退団した雪組前トップ壮一帆のサヨナラ公演「一夢庵風流記

 前田慶次」は、隆慶一郎氏の小説「一夢庵風流記」が原作。同作は、原哲夫氏の漫画「花の慶次」からゲーム、パチンコへと拡大した人気作で、壮が前田慶次ファンだったことから上演がかなった。

 ◆ミュージカル「ルパン三世

 -王妃の首飾りを追え!-」(原作=モンキー・パンチ、脚本・演出=小柳奈穂子)

 ▼兵庫・宝塚大劇場=来年1月1日~2月2日

 ▼東京宝塚劇場=2月20日~3月22日