累計発行部数5000万部で、世界23カ国で翻訳された名作漫画「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」が実写映画化され、俳優佐藤健(22)が主人公の緋村剣心を演じることが27日、分かった。昨年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」でチーフ演出を務め、4月に同局を退局後フリーとなった大友啓史監督(45)がメガホンを取り、岡田以蔵役で出演した佐藤とタッグを組む。

 7月に始まる京都ロケを前に、佐藤は身も心も剣心になっていた。21日に初めてトレードマークの左ほおの傷をつけたが、納得できず細部までイメージを伝えた。幼いころから原作を愛読する大ファンで、こだわりは生半可ではない。

 佐藤

 剣心が好きだし、技の名前を言って友達と遊んでました。(役作りは)今までで一番こだわっています。剣心ならこう戦う、という殺陣(のけいこ)もつけてもらっています。誰よりも強く見せないといけない。刀に慣れ、体に染み込ませるのが大事です。

 「るろうに剣心」は幾度も実写化の話が持ち上がりながら、原作が全28巻ある上、アクションも激しく見送られてきた。3年準備を続けた松橋真三プロデューサーは「運命と対峙(たいじ)しながら暗くならず、周りを安心させる笑顔の剣心を演じられるのは佐藤健しかいない」と言い切る。

 演出家として幅を広げたいという思いから、20年在籍したNHKを退局した大友監督が、フリー第1作に「るろうに剣心」を選んだ裏には、佐藤の強さを描きたいという思いがあった。

 大友監督

 「龍馬伝」ではナイーブな“泣き虫以蔵”を描きましたが、そこでやれなかった強さ、健くんの太さを描きたかった。

 佐藤も、出世作「龍馬伝」を演出した同監督に「共通認識がすごく大事で、お会いして話したときに信頼できた。不安が全然ない」と絶大な信頼を寄せる。「剣心という役をいただいてアクションをやって、格好悪かったら僕の役者生命は終わりです。それぐらいの思いはあります」。大役を前に佐藤は、“武者震い”している。【村上幸将】

 ◆るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-

 幕末に日本最強の剣客として恐れられた「人斬り抜刀斎」は、明治時代の幕開けから10年後、“殺さずの誓い”を立て、人を切ることのできない「逆刃刀」を持ち、流浪人・緋村剣心と名乗り東京の下町に現れる。原作は漫画家和月伸宏氏で「週刊少年ジャンプ」で94年4月から99年まで連載。96年1月にフジテレビ系でアニメ化。97年12月には映画「維新志士への鎮魂歌」も公開。今年はテレビアニメ化15周年。