1974年(昭49)に日本テレビ系で放送された人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」が、38年ぶりに復活し、来年4月7日から劇場公開されることが9日、分かった。タイトルは「宇宙戦艦ヤマト2199」。ベースとなる物語、2199年という時代設定はシリーズ初代と同じだが、監督に過去のシリーズで設定やメカニックデザインを担当した出渕裕氏(52)を起用するなど製作陣を一新。ビジュアルなどを再構築し、新作として公開する。

 放送から38年…。今も語り継がれる「ヤマト

 パート1」が、装いも新たに生まれ変わる。09年に26年ぶりに公開された映画「宇宙戦艦ヤマト

 復活篇」は、83年公開「宇宙戦艦ヤマト

 完結編」から20年後を描いた。主人公の古代進も38歳で艦長に昇格するなど、“その後”を描いていた。今回新たに製作する映画は、古代らがガミラス帝国の侵略で破滅寸前に追い込まれた地球を救うためにイスカンダルへ旅立つ、シリーズパート1のストーリーがベースになる。

 ヤマトブームの仕掛け人の遺志が受け継がれる形で製作に入る。シリーズのプロデューサーを務めた西崎義展プロデューサーが昨年11月7日、東京・父島で船から海中に転落死した。75歳だった。同氏は09年公開「宇宙戦艦ヤマト

 復活篇」を製作後も、あらたなテレビシリーズの脚本や、劇場版のストーリーづくりに取り組んでいた。周囲に「オレも年だから、あまり働かせるな」と言いながら楽しそうに構想を練っていたという。

 昨年12月7日、都内で営まれた西崎氏のお別れ会で、同氏の養子で、製作会社エナジオの社長、西崎彰司氏が「宇宙戦艦ヤマト

 復活篇」のディレクターズカット版製作を皮切りに、テレビシリーズなど新作の制作を始めることを明言。そうした流れの中で、原点回帰として「ヤマト

 パート1」のリメークへの動きが高まり、80年放送の「宇宙戦艦ヤマト3」でSF設定協力、83年の「完結編」で敵のディンギル帝国のメカニックデザインを担当した出渕氏を監督に起用し、製作に乗り出すことが決まった。

 同監督は「自分が今ここにあるのは、37年前のこの作品との出会いがあったから。だから避けるわけにはいかない、伝えていかねばならない」。西崎氏の遺志を継ぎ、強い気持ちで作品づくりに挑む。オリジナルを踏まえつつ、キャラクター、メカニックも入念に再構成する。世代を超えて多くのファンを魅了してきたヤマトが、38年ぶりにイスカンダルへ向け発進する。

 ◆宇宙戦艦ヤマトシリーズ

 74年10月6日から翌75年3月30日まで、日本テレビ系で「宇宙戦艦ヤマト」が放送された。77年にはテレビシリーズを再編集した「宇宙戦艦ヤマト」が、78年には「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」が公開され、そのテレビ版として同年10月から翌79年4月まで日本テレビ系で「宇宙戦艦ヤマト2」が放送された。80年には劇場版「ヤマトよ永遠に」が公開され、同年10月から翌81年4月まで「宇宙戦艦ヤマト3」が放送。83年「宇宙戦艦ヤマト

 完結編」が公開され、古代進が艦長となって地球に帰還。09年「宇宙戦艦ヤマト

 復活篇」、10年12月にはSMAP木村拓哉主演の実写版「SPACE

 BATTLESHIP

 ヤマト」が公開された。