<フィッシング・ルポ>

 夏ハギ真っ盛り!

 千葉・内房沖のカワハギ釣りが好調だ。この時期は、浅場を中心に平均してサイズがいいのが特徴だが、ここにきて、15センチ以下の、俗に「ワッペン」と呼ばれる小型が交じりだし、早くも数釣りが楽しめる秋シーズンの様相も-。半面、「エサ取り名人」の異名を持つ相手だけに難しさもある。その攻略のヒントが先日、勝山港の「宝生(ほうせい)丸」で行われた釣り教室で見えてきた。

 カワハギ釣り教室の講師は、この釣りに精通する永田文生さん(57)だ。高橋賢一船長(34)の操船で最初に入ったのは、30~40匹台の好釣果を連発している勝山沖で水深は10~20メートルライン。いきなりカワハギが躍り上がった。サイズは、平均して20センチ前後が多く、ベラをはじめトラギスなど外道もやたらに掛かる。

 しかし、船は移動を繰り返し、その度にヒットはするものの、後が続かない。潮色が悪いため、魚は底周辺から動かず活性も鈍いらしい。潮温は26度台から27度台に上がった。そんな中で、永田さんは個々に持参のサオや仕掛けを見て、状況に合わせた釣り方を的確にアドバイスしていく。

 今回の参加者は計17人、うち4人が女性。左舷ミヨシ(船首)2番目で山崎クニ子さん(63=埼玉県加須市)がヒットし、「中オモリを活用して〈たるませ〉〈たたき〉の誘いを、教えられた通りにやったら釣れました」と笑顔。隣でご主人の巌雄さん(65)もニッコリ。同・胴ノ間(中央)の山崎真由美さん(47=東京都江戸川区)とご主人の規夫さん(48)も同じアドバイスを受け、同時にカワハギを取り込んだ。右舷トモ(船尾)にいた古市恵子さん(31=埼玉県熊谷市)は、ご主人の晃さん(34)と一緒にサオを曲げれば、左舷トモの橋本いつよさん(41=東京都大田区)も連発した。

 途中からワッペンが掛かりだすと、仕掛けに付けたエサ(アサリのむき身)がなくなっている、いわゆる〈ツルテン〉状態で上がってくることが多くなった。ワッペンがエサ取りになっているのだ。

 ◆永田さんのアドバイス

 ワッペンが釣れだすと、数が狙える秋のシーズンも間近。カワハギ釣りは、魚が興味を引くエサの動きを演出させるのが課題で、エサが〈ユラユラ動く〉ことが基本。ただし、ワッペンは動きが速い。落ちる仕掛けに追いつき、着底時に(3本バリ中)2個のエサが食われていることがある。着底と同時に素早く糸フケを取らないと、残った1個も食われ、「さあ、釣ろう」とした時、エサがないから当然、アタリもない。これがワッペンの〈正体〉。攻略のヒントとしては<1>リールに巻いたPEラインのマーカー(印)で目安となる水深を覚えておき、そこでリールのクラッチをストップさせてから釣り開始<2>エサが常に動くようにしてストップモーションを1秒、アタリがなければ2秒、3秒と変えてみる。

 結局、魚の活性は鈍いまま納竿(のうかん)となったが、それでも、トップは古市晃さんで18匹、恵子さんは11匹で「過去最多」という。山崎巌雄さんは14匹でクニ子さんが8匹をマークし、こちらも「これまでの最高」と大喜び。永田さんは「今年は魚が多い。底釣りも含め釣り方に決まりはありませんが、その日の魚が食いつく〈当たりダナ〉を探り当てることがカギ」と話した。【長瀬川忠信】

 ▼船

 日刊スポーツ新聞社指定「宝生丸」【電話】0470・55・2777。カワハギの乗合は午前5時30分出船便が氷付き8000円(HP割引あり)。午後1時30分出船便もあり氷付き6000円。他にイナダとマダイ船に午後便のアジ釣り船も出漁中。HP<http://www.houseimaru.com/>。詳細は要確認。

 ▼交通

 電車はJR内房線・安房勝山駅下車。車利用の場合は、富津館山道・鋸南富山インターから下佐久間を経由して勝山漁港を目指し、漁港奥に船着き場がある。