20年東京五輪大会組織委員会は14日、ボート、カヌー会場の見直し問題に関し、東京都の小池百合子知事が定例会見で、都政改革本部の調査報告書が発表される前に、埼玉など他県知事との「交渉」があったと受け取れる発言をしたとして、小池氏を批判する異例の文書を発表した。緊張関係にある両者の対立が、さらに悪化する可能性がある。

 小池氏は14日の会見で、「埼玉県の上田知事からは、埼玉には主要な競技が来るので、十分ですという話をいただいた」と述べ、埼玉側が辞退していたことを示唆。「埼玉から熱い要請はいただいていない。先方に意欲があって初めて成り立つ話」とも主張した。

 登米市の長沼ボート場を要望する宮城県の村井嘉浩知事から話を聞いたことも認めたが、調査報告書が出る前に各県知事とやりとりした真意を問われ「いろんな知事がごあいさつに来られる。おかしいことには当たらない」と反論した。

 しかし組織委は「復興五輪が大切、宮城・長沼だと発言しながら、実は上田県知事に事前に打診していた」「報告書を受けただけで、最終決定していないと言いながら、水面下で他県知事とだけ話し合うのは極めて不透明なやり方ではないか」と指摘。森喜朗会長が上田氏に電話すると、小池氏と「電話で話したことも会って話したこともない」と述べたとも主張。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と会談する18日までに、混乱を収拾するよう小池氏に求めた。

 この日、上田氏は彩湖への受け入れに立候補する意向を唐突に表明。「組織委の顧問になっており、誘致を自粛していた。埼玉県にその気がないと判断されたなら、考えを変えざるを得ない」としている。