バイクファンから今も愛される伝説のライダーが、サーキットで逮捕された。男性3人の胸ぐらをつかんだとして、栃木県警茂木署は16日、オートバイの世界選手権(WGP)元王者ワイン・ガードナー容疑者(57=モナコ在住)を暴行の疑いで現行犯逮捕した。署によると、ガードナー容疑者は「腕をつかまれた。ふりほどこうとして、相手の体を揺すった。胸ぐらはつかんでいない」と容疑を否認している。

 逮捕容疑は16日午前8時ごろ、茂木町のサーキット「ツインリンクもてぎ」敷地内の道路上で、都内在住の男性会社員(49)ら3人の胸ぐらをつかんだ疑い。

 ガードナー容疑者は87年、ホンダのライダーとしてWGP最高峰500ccクラスで世界王者となった。鈴鹿8時間耐久レースでも85、86年の連覇と91、92年の連覇の4勝を記録。低く構えたフォーム、コーナー立ち上がりで時に後輪を滑らせながらも加速するアグレッシブな走りでファンを魅了した。人気漫画「バリバリ伝説」(しげの秀一)にも実名で登場。日本にも多くのファンがいる。

 ガードナー容疑者は愛息2人をレーサーに育て上げ、長男レミー・ガードナー(18)は父の優勝年「87」のゼッケンで世界選手権モト2クラスに参戦中。この日の日本GP決勝に出場したレミーの応援のための来日とみられる。署によると、ガードナー容疑者とレミーが乗る車が、男性会社員の車を追い越す際に、右ミラー付近に接触する物損事故が発生。男性会社員らとトラブルになったという。

 ◆ワイン・ガードナー 1959年10月11日、オーストラリア生まれ。国内や英国でオートバイのレースを重ね、83年にロードレース世界選手権初参戦。87年の500ccクラスでオーストラリア人初の総合優勝。ホンダのバイクで計18勝した。鈴鹿8耐で4勝するなど、日本でもファンが多く、マシンカラーから「ブルー・サンダー」と呼ばれた。96~02年に4輪の全日本GT選手権に参戦した後、引退。オーストラリアでレーシングチームを結成し、後進を指導している。