早朝の東北を大きな揺れが襲った。沿岸被災地の人々は、再び津波警報に身構えた。22日午前5時59分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7・4の地震があり、福島、茨城、栃木の3県で震度5弱を観測した。

 東日本大震災から5年8カ月が経過した沿岸被災地に、サイレンが鳴り響いた。「直ちに高台などに避難を」。津波警報が出た福島県いわき市では、防災無線が避難を呼び掛けた。

 いわき市内は車での避難が相次ぎ、大きな渋滞が発生。高台の宿泊施設には約300人が身を寄せた。震災で自宅が全壊した同市の会社員新妻広志さん(46)は「こんなに早く再び大きな地震があるとは思わなかった」と驚いていた。

 震災後最大の140センチの津波を観測した仙台港。仙台市宮城野区の東北電力新仙台火力発電所では、職員を3階以上に避難させた。総務部の高橋和夫さん(53)は「津波が押し寄せているのが窓から見て分かった」と振り返った。

 警察庁は、宮城、福島、千葉各県と東京都で計17人がけがをし、うち3人が重傷と発表した。沿岸各地で約1万4000人が避難。各自治体は震災の教訓を生かし、人的被害を最小限に食い止めた。

 いわき市は震災後、住民に災害情報を素早く知らせる防災メールを導入。22日は約1万5000人の登録者に高台への避難を促した。仙台市では震災後、沿岸3カ所に鉄骨2階建て、高さ約10メートルの「津波避難タワー」を設置し、22日は計約100人が一時身を寄せた。

 今回のM7・4は、M7・3の阪神大震災や熊本地震を上回った。震源地は福島県いわき市の東北東約60キロ沖で、震源の深さは約25キロ。気象庁は福島、宮城両県に津波警報、青森、岩手、茨城、千葉各県に津波注意報を出した。