厚労省関東信越厚生局麻薬取締部に元女優の自営業高樹沙耶(本名・益戸育江)被告(53)らが大麻取締法違反容疑で逮捕されて1カ月。長野県では男女22人が同法違反容疑で逮捕されるなど、大麻事件が相次いでいる。

 大麻にはどんな精神作用があるのか。国立精神・神経医療センター依存性薬物研究室の舩田正彦室長は「陶酔感、多幸感のほか、視覚や聴覚、味覚などの知覚の変容が現れる。長期使用者では幻覚を伴う精神病を発症する恐れがある」と説明する。

 依存性については「あの体験をもう1度、という精神依存があり、使用しないと体調不調になる身体依存もあるとの報告もある」と指摘する。

 嗜好(しこう)大麻が解禁されている国や地域では品評会が行われ、精神作用を持つ成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」含有量の多い品種の大麻が生み出されている。「00年には4%程度だったのが今は17%や20%という品種も出てきており、これまでにない重大な症状が出る恐れもある」という。

 日本では少年の大麻事件も増加。京都府警のアンケートでは、京都府内の中学生の3人に1人が違法薬物を「入手可能と思う」と答えた。米国では州によっては嗜好大麻や処方箋で購入できる医療大麻が解禁されているが、21歳未満の未成年には厳しく使用を禁止している。舩田氏は「若年層が大麻を使った場合、特に記憶力、認知機能、学習能力が低下する健康被害が確認されている」と注意を呼びかけている。