築地市場の移転問題に伴う豊洲市場の地下水モニタリング調査の最終結果(9回目)で、有害物質のベンゼンが最大で環境基準の79倍検出されたことが14日、分かった。築地市場の講堂で行われた第4回「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」で発表された。

 モニタリング観測井は青果棟などの5街区に72本、水産仲卸売場棟などの6街区に61本、水産卸売場棟などの7街区に68本の計201本。昨年11~12月の調査で、環境基準が1リットル当たり0・01ミリグラムのベンゼンが、5街区の1本で最大の0・79ミリグラムを観測した。

 ベンゼンの環境基準超えは計35本。シアンとヒ素を含めると72本が環境基準を超えた。昨年公表の8回目の調査では、5街区の3本で基準をわずかに上回るベンゼンとヒ素が検出されたが、今回は濃度も本数も急激に増えた。

 専門家会議の委員からは「なかなか見られない現象」「初めての経験」「あまりにもショッキング」と驚きの声が続いた。平田健正座長(放送大学和歌山学習センター所長)は「原因が分からない。なぜこうなったのか調べたい。このままでは評価できない。戸惑っている」と話した。

 都の調査機関に加え、同会議としても別の調査機関に依頼し、データの精度を高める意向。次回の専門家会議を開く3月までに、数字が大きく変動した原因を追究するという。都は経路説明書を受け取っていないことを理由に、今回の調査結果を暫定値とした。

 会議を傍聴した市場関係者は、困惑した様子だった。ある仲卸業者は「このデータが移転後に出なくて良かった。これでは小池都知事は安全宣言を出せない。都民は納得しない。豊洲に実験場ではなく、市場を造ってほしい」と力説。別の仲卸業者は「豊洲市場の敷地は汚染地。土壌を入れ替えないと、有害物質はこれからも出てくる。市場を移す場所じゃない」と訴えた。