共和党のドナルド・トランプ新大統領(70)が20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で宣誓し、第45代大統領に就任した。就任演説では「米国第一」主義を強調したが、就任に抗議するデモ隊の一部が警官隊と衝突するなど、暴徒化。217人が拘束された。大統領就任式では1969年のニクソン大統領のときに81人が逮捕された例があるが、今回はそれを大きく上回り、米社会の分断の深さを浮き彫りにした。

 ロサンゼルスでも反トランプの動きが広がった。雨の中、就任式の30分前から90以上の団体が参加するデモ隊が市庁舎をゴールとする約3・5キロを行進。地元メディアはこの日だけで1万人以上がデモに参加するだろうと伝えた。

 8年前のオバマ大統領就任式で、多くの人々が演説を大画面で見守り、新しい米国の誕生を喜び合った同じ場所で、この日は市民の怒りと不安の声が飛び交った。「憎悪がアメリカを偉大にすることはない」「このままでは時代が50年前に戻ってしまう」。デモ隊の暴徒化を警戒し、ダウンタウン周辺では飲食店など多くの店が休業。西海岸最大の都市は祝賀ムードとはほど遠かった。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)