東京都心部などのタクシー初乗り運賃が30日、約1キロまで410円に引き下げされた。従来は2キロまで730円。短い距離を安い運賃で気軽に乗ってもらう「ちょい乗り」施策に、利用者は「便利になった」「初乗りの距離が短すぎる」など反応はさまざまだ。

 新運賃は、東京23区内と武蔵野市、三鷹市に営業所を置く事業者が対象。初乗り1052メートルを越えると、237メートルごとに80円加算する。2キロ弱までは割安、約2キロから約6・5キロは値上げと値下げが混在。約6・5キロ以上になると割高になる。都内在住で営業職の40代の男性は「営業回りで短い距離でも乗ることが多いので、非常に助かる」と歓迎。一方、埼玉県の60代女性は「1キロぐらいだったら歩いた方がいいかも。歩けないくらいの長距離になるほど割高になるなら、逆に利用しにくい」と話した。

 あるタクシー運転手は、初乗り運賃変更に備えたものの、肩透かしにあった。「今日は5人乗せたけれど、410円で降りた人はいなかった。1000円札を出す人が多いから、釣り銭に500円をたくさん用意していたんだけどね」と苦笑いした。それでも「ちょっとでも乗ってくれる人が増えるとしたら、いい取り組みになる」と期待した。国交省が昨年8~9月に都内で実証実験をした際には、初乗り410円なら月平均に利用回数が増えるとの結果を得ている。

 世界のタクシーの初乗りは300~400円台のところも多く、東京の初乗りは割高だった。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、外国人旅行客対策も兼ねた初乗り値下げ。効果が見えるには、時間がかかりそうだ。【小松正明】

<主な都市の初乗り運賃>

 ▼札幌670円(1・6キロ)

 ▼仙台680円(1・7キロ)

 ▼横浜730円(2キロ)

 ▼名古屋500円(1・264キロ)

 ▼大阪680円(2キロ)

 ▼広島640円(1・5キロ)

 ▼福岡750円(1・6キロ)

 ▼沖縄510円(1・75キロ)