快進撃を見せる侍ジャパン。2次ラウンドのキューバ戦が行われた14日夜、東京・四谷にある野球ファンの聖地、居酒屋「あぶさん」には、野球ファンがあふれた。テレビ観戦したファンは、侍ジャパンの一挙手一投足に声援を送り、最後は勝利に酔いしれた。

 試合開始時刻の午後7時には客は半分ほどだったが、仕事終わりのサラリーマンなどが徐々に集まり、終盤にはほぼ満席となった。

 ヤクルトファン歴5年の会社員浅沼健太朗さん(29)は、ヤクルト山田哲人内野手の2本塁打に「これだけ復活してくれてうれしい。仕事を頑張れます」と歓喜。日本ハム増井浩俊投手の高校の後輩という大学4年生の渡辺義さんは「ユニホームをいただいたりしました。偉大な先輩。最高です!」と満面の笑みを見せた。

 店主の石井和夫さんは、青学大出身の小久保裕紀監督と学生時代から面識があるといい、「頑張ってほしい」とエールを送っていた。

 故障のためWBC出場を辞退した日本ハム大谷翔平投手のファンという会社員の向まさみさん(30)は、「大谷がいないWBCなんて…と思っていたけど、なんだかんだで熱が入ります」と話し、「明日は東京ドームへ(イスラエル戦を)観戦しに行きます。明日も勝ってくれると信じています」と熱弁した。

 医療事務職の松岡カリンさん(32)は野球ファンが増えていることを実感しているという。「これからも見ようかな。WBCで野球に興味をもった友人も多いです」と話した。

 盛り上がりを見せる一方で、WBCの問題点を指摘するファンもいた。スポーツビジネスを学んでいる大学4年生の藤本洋平さんは、自身の海外経験をふまえ、「サッカーのワールドカップと違い、開催国以外の認知度が低いのが問題」と分析。スポーツ界全体におけるWBCの位置づけを不安視する声も聞かれた。