天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議(座長・今井敬経団連名誉会長)が6日、首相官邸で開いた第12回会合で、陛下の退位後の呼称を「上皇」、敬称は引き続き「陛下」とする方向性が固まった。秋篠宮さまの呼称を新天皇即位後も維持して「秋篠宮」とする案も有力となった。政府への提言として21日にもまとめる報告書に盛り込む方針で、政府は退位の法整備に反映させる。

 陛下の退位後の呼称に挙がっていた上皇と正式名称の「太上(だいじょう)天皇」に関し、会合では「『天皇』を伴う呼称だと新天皇との間で象徴が二元化する恐れがある」「上皇が歴史的に定着していることを踏まえる必要がある」との意見が出た。

 有識者は、皇室の生活費などに充てる予算にも報告書で言及することを確認した。皇太子家の場合は天皇とその家族が対象の「内廷費」として年3億2400万円、秋篠宮家には「皇族費」として6710万円が支出されている。政府は秋篠宮さまの待遇を「皇太子」と同等にする方向で検討している。

 敬称については皇后さまも「陛下」とし、葬儀は「国家に多大な功労のあった方」は歴代天皇と同じ「大喪の礼」を行うのが妥当との意見があった。

 座長代理の御厨貴・東大名誉教授は会合後、皇后さまの呼称を巡り「皇太后」に慎重意見があったとする一方、政府内で浮上した「上皇后」を念頭に「(代案の)議論は進めている」と記者団に述べた。(共同)