無理心中ではなく殺人事件だった。福岡県小郡市の住宅で6日、母子3人が遺体で見つかり、福岡県警は7日、何者かに殺害された殺人事件と断定、小郡署に捜査本部を設置した。県警は当初、母親が無理心中を図ったとみていたが、司法解剖の結果、母親の死因は首を圧迫されたことによる窒息死と判明した。一家は4人暮らしで父親は県警巡査部長(38)。「家を出るとき、3人は寝ていた」と説明している。

 母子3人が殺害された現場となった中田さん宅は、西鉄小郡駅から徒歩10分。一戸建ての住宅が並ぶ平穏な街並みの一角にあった。家の裏手に出れば、小郡警察署が見え、自宅前の道路は交通量が多い。中田さん宅近くに住み、一家と親交のあった男性(79)は「この辺りは高齢者が多い。2年前に引っ越して来られた時、ご主人は警察官と聞いた。頼もしいと思ったし、いい家族が来られて良かったと思っていたのに」と、言葉を詰まらせた。

 男性によると、中田さん一家は15年3月に、中古住宅として売りに出ていた家を購入し、転居してきた。男性は「家族4人でごあいさつに見えた。健全な、明るい4人家族だった」と振り返る。先月には、自宅裏手で、父親が長女の実優さん(6)に自転車の乗り方を教えていたという。「涼介君も自転車で周りを走って手本を見せていた。ご主人は真面目で物静かな感じの方で、決して声を荒らげない。優しく乗り方を教えていた」。