将棋界初の「中学生六段」に昇段した藤井聡太六段(15)が8日、大阪市の関西将棋会館で指された第68期王将戦1次予選2回戦で師匠の杉本昌隆七段(49)を111手で破った。師匠との公式戦初対局。師匠の杉本が対局後、師弟戦の思いを語った。

 以下は主な一問一答。

 -2局を振り返って

 杉本 千日手はこちらから打開することができなかった。きょうは長くやりたかったので、途中から指し直しにするつもりでした。

 -指し直し局はどのような将棋だったか

 杉本 練習将棋ではあまりこういったかたち(千日手)はなかった。私はもともと四間飛車(戦型)でプロになった。藤井六段を弟子にしてからはあまり(四間飛車)の将棋を指したことはなかった。きょうはプロになった原点の四間飛車でいこうかなと決めていました。

 -師匠の故板谷進九段への思いは

 杉本 私が19歳のときに師匠は亡くなった。まだプロになっていなかった。師匠と公式戦で戦うことができなかった。形を変えて、藤井六段と戦えたのはうれしかった。

 -持っていた扇子は

 杉本 午前と午後で扇子を変えた。午前中は師匠の扇子。ずっとこれを持っていると、昔のことをいろいろ思い出したりして感傷にふけってしまいそうだった。午後からは扇子を変えた。

 -午前中の対局では初手まで約2分間、何かを考えていたようだった

 杉本 自分の棋士人生の中でも一番注目された対局。こういう対局ができるのをうれしく思った。いろいろな人への感謝の思いがあった。

 -たくさんの報道陣に囲まれた感想は

 杉本 毎回、彼はこんな注目されている場で指しているんだな。あらためて大変さが分かった。

 -いま藤井六段にかけたい言葉は

 杉本 彼の強さは証明されている。あらためて言葉はない。この対局は藤井六段のみならず、私まで注目していただいた。勝負としては残念だが、記念にもなった。きょうはすばらしい1日でした。

 -また対戦したいか

 杉本 同じ関西の棋士なので、またいつか対局する日がある。そのときは藤井六段はさらに成長していると思う。もう1回、対局したい。