将棋の羽生善治竜王のタイトル通算100期獲得は、ならなかった。

 第89期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第5局は17日、東京都千代田区の「都市センターホテル」で行われ、羽生は挑戦者の豊島将之八段(28)に敗れた。対戦成績は2勝3敗となり、棋聖の座を豊島に譲った。豊島は初タイトル獲得。一方、羽生は竜王のみの1冠に後退、今年秋から始まる竜王戦で防衛すれば、タイトル通算獲得100期となる。  羽生は今年、国民栄誉賞を受章。4月に始まった名人戦でも挑戦権を獲得したが、佐藤天彦名人に敗れた。前後して始まった棋聖戦でも第3局を落とし、豊島に先に王手をかけられた。第4局をしのいで追いついたが、最後に力尽きた。

 1989年(平元)12月に初タイトルとなる竜王を獲得。1年後に失ったが、91年3月に棋王を獲得して以来、タイトルを確実に保持してきた。一昨年に名人、昨年は王位と王座を立て続けに奪われたが、通算7期目の獲得となる竜王を奪還。「永世竜王」の称号を得ると同時に、引退後に名乗ることができる「永世称号」を7大タイトルすべてで獲得している。  将棋界は、8大タイトルを8人で分け合う群雄割拠の時代に突入。過去には1987年(昭62)10~11月、7大タイトルを7人で分け合ったことがある。