「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が今年7月、ユネスコ「世界遺産」に登録された。1549年、日本に伝えられたキリスト教は、江戸時代に禁教となった。信徒への厳しい弾圧の中、潜伏キリシタンはそれぞれの集落で独自に信仰を実践してきた。

幕末に開国し、1865年に当時の外国人居留地に設立された教会が、潜伏キリシタン発見の足掛かりとなった。長崎市の大浦天主堂。男女15人ほどが見物客を装って船で訪れ、キリスト教をひそかに信仰していたことを神父に告白したという。禁教だった時代に、潜伏キリシタンがいたことを証明した。キリスト教史上、歴史的な展開の舞台になった。

隣接する「グラバー邸」は、別の世界遺産として登録された「明治日本の産業革命遺産」の1つ。2つの世界遺産が並ぶのも珍しい。ともに石畳の坂の上にあり、観光客や修学旅行の生徒らが数多く訪れる。