東京都の小池百合子知事は29日の会見で、16年8月の就任以来、特別秘書を務めてきた側近の野田数(かずさ)氏が、3月末で退任すると発表した。その上で、今後、野田氏を、東京都水道サービス株式会社(TSS)の社長に、都として推薦する意向を示した。

TSSは、東京都の外郭団体で、水道施設の整備・管理などを担う。今年2月、都の特別監察で、受注工事会社などとの不適切な関係、書類改ざんなどの不正が認められた経緯がある。

小池氏は「本人と話した結果、新しい舞台で引き続き活躍してもらう」とした上で、TSS社長への推薦について、昨年、都水道局に公正取引委員会が検査に入ったことや、19年度に東京大改革の一環で、TSSと営業系の業務を担当するPCUを統合する予定であることを踏まえ、「今後、強力に改革を推進する人材として、推薦したい」と説明した。

関連団体への知事側近の「天下り」に当たらないかと指摘されると、「天下りには当たらない。適材適所で選んだ」と反論。「行動力があり理論武装もできる。新しい東京の水道をつくる上で、これまでと違う流れの人。流れを変える人だ」と述べた。

野田氏は元都議で、国会議員時代にも小池氏の秘書を務めた。都民ファーストの会が躍進した17年夏の都議選後、都民ファ代表を“兼務”していたこともあり、小池氏の信頼が厚い側近中の側近だった。

しかし、17年衆院選をめぐる小池氏の国政進出には一貫して反対の立場だったとされ、最近は「不仲」が指摘されていた。公の場に出る機会も減っていたが、先月、小池氏の政治資金管理団体が都庁近くのホテルで開いたパーティーの会場に姿を見せ、出席者の間で話題になっていた。

16年8月の小池氏の都知事就任以降、野田氏と新聞社出身の女性の計2人が、特別秘書を務めてきた。今後の体制について、小池氏は「もう1人は交渉中」と述べ、野田氏に代わる新たな人材を充てる用意があることを明かした。