レースカーもたくさん並んでいます。きっとマニアには溜息ものなのでしょうね
レースカーもたくさん並んでいます。きっとマニアには溜息ものなのでしょうね

LA本社近くに博物館

 トランプ新大統領に名指しで批判されたことが日本でも話題になったトヨタ自動車ですが、米国に販売会社「トヨタ・モーター・セールスUSA」を設立したのは、今から60年前のこと。1957年10月31日にハリウッドに本社を置き、米国での販売をスタートさせたのです。米国の自動車市場において第3位の売り上げを誇るまでに成長したトヨタの米国での60年に渡る歴史を紹介する博物館が、ロサンゼルス郊外トーランス市にあります。ロサンゼルスからテキサス州に本社を移転させることが決まっているトヨタですが、トヨタ・オート博物館はロサンゼルス本社がある建物のすぐ近くにあります。

ロングビーチで行われる「トヨタ・グランプリ」はLAでも人気の公道を使って行われるインディカー・シリーズ。今年も4月7日から開催されます
ロングビーチで行われる「トヨタ・グランプリ」はLAでも人気の公道を使って行われるインディカー・シリーズ。今年も4月7日から開催されます

クラウンから最新エコカーまで125台超

 観光ガイドなどにも乗っていないので、あまり一般に知られていないこの博物館は、2000年1月に開館。完全予約制ですが入場無料で見学することができます。半世紀以上におよぶ米国トヨタの歴史が、各時代を代表するトヨタ車とともに紹介されており、トヨタファンなら涙ものかもしれません。1958年にアメリカで最初に販売したクラウンから最新のエコカーまで米国販売車両がずらりと並んでいるほか、レースカーも展示されており、現在この博物館で保管しているのは一般車とモータースポーツ車合わせて125台を超えるとのこと。

1936年に完成した初の量産乗用車「トヨダ・AA型乗用車」の復元車。貴重な展示のひとつです
1936年に完成した初の量産乗用車「トヨダ・AA型乗用車」の復元車。貴重な展示のひとつです

2000GTもトヨタのルーツ「AA型」も

 映画「007は2度死ぬ」(1967年)の撮影で実際に使われたトヨタ2000GTやトム・クルーズ主演の「マイノリティ・レポート」(2002年)の撮影のために特別に製作されたレクサスなど、マニア必見の車もあります。子供時代を思い出す懐かしい形の車もたくさんありますが、一番の注目は1936年に完成した初の量産乗用車「トヨダ・AA型乗用車」(のちにトヨタ・AA型乗用車となる)の復元車。80年代にトヨタ自動車は自社のルーツであるこの車の行方を捜したものの残存車を日本国内で発見することはできず、復元製作することが決まったと言われる幻の車です。

2000GTのゴールドカラーは世界に3台しかないようです
2000GTのゴールドカラーは世界に3台しかないようです

 ほかには世界に3台しかない超レアな2000GTゴールドカラーや1961年から販売されているランドクルーザーなどトヨタの車の歴史が一目で分かります。また、毎年ロングビーチで行われている市街地を走るインディカー・シリーズの「トヨタ・グランプリ」のメインスポンサーでもあるトヨタだけに、様々なレースカーも展示されており、小さな博物館ながら充実した展示内容です。

新旧トヨタ車がいっぱい。懐かしいという車から最新モデルまで見ているだけでも楽しいです。北米でしか発売されていない車もあります
新旧トヨタ車がいっぱい。懐かしいという車から最新モデルまで見ているだけでも楽しいです。北米でしか発売されていない車もあります

何と1番人気は「カムリ」なんです

 車社会のロサンゼルスに住んでいると、日本とは比べものにならない走行距離を走るため、いかに日本車は安心で耐久性に優れ、丈夫なのかを思い知ることができます。GM、フォードに次ぐ第3位の販売シェア率からも分かりますが、ロサンゼルスに住んでいると本当によくトヨタ車を見かけます。最近はプリウスなどのエコカーも多くなりましたが、実はアメリカではカムリがとっても人気で、1番売れているセダンなんです。そんなトヨタの品質や革新性、耐久性へのこだわりや米国内でのトヨタ車販売の歴史も博物館を見学しながら知ることができるちょっとユニークな博物館です。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も)