アユ釣りの釣技を競う「第39回G杯争奪全日本アユ釣り選手権」(主催=(株)がまかつ)が3、4日、岐阜県下呂市の益田川(飛騨川)で、地区予選を勝ち上がった64選手(シード、推薦含む)が参加し行われた。2日目の決勝戦は午前11時30分から6選手が2組に分かれて2回戦(各1時間)を戦い、2回戦後半に最下流のポイントに入った山本雅弘選手(三隈川)が、約30分間で8匹を掛ける猛攻で計18匹(オトリ3匹含む)を追わせ、初出場で初優勝を飾った。

 決勝戦終了を告げるホーンの音とともに、山本選手は最後のアユを取り込んだ。残り時間を見て「30秒あれば釣れる」と仕掛けを投入、狙い通りに仕留めた。「あれは本当に気持ちが良かったです」と、G杯全国大会初出場初優勝の興奮とともに、会心の一投を振り返った。

 準決勝2組を1位で突破し、迎えた決勝戦。1回戦で追わせたのは4匹。2回戦も2匹を加えたが、ペースが上がらない。

 後半、思い切って動いた。まだライバルが誰も入っていないエリア最下流の大岩の裏側へ移動。「行って様子を見るだけのつもり」だったが、瀬を見たとき、直感した。「アユがたまっていそうだ。これはハマればもしかすると…」。

 直感通り、仕掛けを入れるといきなりアユが反応。そこからはまさに入れ掛かりで、約30分間で8匹を追わせた。猛烈な追い込みで2位の井上選手らを引き離した。優勝へ近づく実感で、オトリを替えるときも手が震えたほどだった。

 G杯には「6、7回挑戦」しているが、全国大会は初めて。全国初挑戦で優勝カップを手にし「たくさんの人たちの応援と協力のおかげです」と感謝した。

 特に、仲のいい清原裕之選手(高津川)には手厚いサポートを受けた。自らも今大会に出場(予選落ち)した同選手に、山本選手は車で出迎えてもらい、下見した情報もすべて教えてもらった。「もう少し周りを見て、動くときは動け」という助言も、決勝戦で生かした。好きな釣りを存分にさせてくれる夫人と2人の子どもにも、胸を張って優勝を報告できる。

 実は、アユだけでなくチヌ釣り歴も15年と長い。「G杯争奪全日本チヌ釣り選手権」(9月6~8日、岡山・下津井)にも、出場が決まっている。次は、アユとチヌ、異魚種競技連覇にチャレンジだ。【高垣誠】

 ◆山本雅弘(やまもと・まさひろ)1984年(昭59)2月16日、大分県別府市生まれ、31歳。広島市在住。会社員。アユ釣り歴15年。TEAM G所属。主な釣行河川は高津川、日野川、太田川。

 【4位以下の成績】<4>川崎智仁(仁淀川)10匹(784グラム)<5>山本裕二(高津川)7匹(549グラム)<6>玉木功(神流川)6匹(478グラム)<7>廣岡保貴(推薦)14匹(934グラム)<8>三浦宏仁(仁淀川)12匹(850グラム)<9>和田順敬(神通川)12匹(849グラム)<10>原田五十二(長良川)11匹(834グラム)※敬称略、7位以下は準決勝の成績で順位を決定。同匹数は重量上位。