アユの総匹数を競う「平成29年度GFG(がまかつファングループ)杯争奪全日本地区対抗アユ釣り選手権」(後援・(株)がまかつ、GAMAKATSU PTE LTD)が7月31日、秋田仙北市を流れる桧木内川で地区予選を勝ち抜いた36選手(女性3人含む)が参加し、行われた。12選手で競った決勝戦は、瀬で9匹(オトリ2匹含む)を追わせた中島清弘選手(中部)が、森本伸一選手(四国)に35グラム差で接戦を制して初優勝を飾った。3位には6匹の渡邉敦選手(中部)が入った。団体戦は、地元の東北A地区が9年ぶりに優勝した。

 「まさか優勝できるなんてびっくりです」。中島選手が、日焼けした顔をほころばせ、興奮気味に喜びを語った。昨年のG杯アユ(岐阜・益田川)準優勝の渡邉敦選手(中部地区)を含む3人のがまかつフィールドテスター(アユ)らを抑え見事、GFG杯を手にした。

 3年前、泳がせ釣りだけではトーナメントには勝てないと引き釣りを導入。ガツンとくるアタリがやみつきになり、時には、会社の前を流れる益田川に出勤前、仕事帰りにも、竿を出すほどのめりこんだ。

 磨いてきたのは「根掛かりしにくく、オトリを管理しやすい」小さめのオモリと背バリを併用する引き釣り。師匠で、がまかつアドバイザリースタッフの島田岩男氏から指導を受けながら精度を高めてきた。

 そんな努力の積み重ねが予選の終盤で開花。白川(石のコケが洗い流された状態)で泳がせ釣りもしながらの拾い釣りが続いたが、日が照り込むと岩盤の流芯で野アユが反応。この果敢な追いを受け、決勝は迷わず瀬釣り一本で勝負した。

 入ったのは横町橋下流の急瀬。「オトリのタナを管理しながら」流れの筋をくまなく引き、最後は、立ち位置のヘチまで探る完璧な引き釣りで11~21センチを9匹追わせてフィニッシュ。

 森本選手に同匹数の重量勝負の結果、35グラム差で勝利した。優勝が決まるとまっ先に師匠に電話をかけ、「やっちまいました」と報告すると「すごいな、よかったな。おめでとう」と祝福の言葉が贈られた。

 昨年のG杯アユの決勝戦では、覇者・廣岡昭典選手の審査員を務め、優勝の瞬間、「思わず2人でやったーと声をあげました」と振り返る。「今回、フィールドテスターなど、実力者に勝てたのが自信になりました。次はG杯の全国大会出場を目指して頑張ります」。中島選手の友釣りへの情熱、ひたむきな努力がさらなる高みへの扉を開く。【近江康輔】

 ◆中島清弘(なかじまきよひろ)1957年(昭32)3月16日生まれ。下呂市在住。会社員。アユ釣り歴30年、ホームは益田川、馬瀬川。フィッシュハンター志麻所属。