釣り師を公言する“アニキ”こと俳優哀川翔(56)は「難しくて奥深い」と評する魚がいる。この夏、釣れまくっているアジだ。過去に数多くの魚を仕留めてきたアニキも、一番好きな釣りで、食べても「魚のトップ」と常々話している。愛知から釣り仲間が13人駆け付け、夏休みの思い出に川崎「つり幸」から東京湾のアジ釣りに繰り出した。各地域のアジ釣りも列挙してみた。

 東京湾のアジ釣り、って一般的だと思っていたけど、どうやら愛知ではビシは使わないらしいね。サビキで小さいアジを狙うやり方という。で、愛知の釣り仲間に話したら、バスをチャーターして来るという。夏休みの大冒険だ。川崎「つり幸」なら駐車場もあるし、しかも船着き場から約10分とすぐ近くだ。さっ、堪能してもらおうか、東京湾のアジを!

 アジ釣りをバカにしちゃいけない。アジこそ「タナで釣る」に当てはまるんだ。「タナ」というのは「魚の回遊層」といわれているが、実はちょっと違う。アジが回遊しているレンジ(層)じゃなくて、アジをおびき寄せるレンジなんだな。アジがいるポイントでも魚探(魚群探知機)で反応があるクセに何も食ってこない場合もある。

 そういうときは「ブレずに待つ」。食い気のないときは、そりゃ、どんなことをやっても食わない。だから、指示されたタナに狙いをすましたら、コマセを振ってしばらくそこから動かさない。ピタッ、と止めて待つ。何もない静寂をやぶって、サオ先が激しく揺れる。心臓まで揺るがしそうなバイブレーションだ。

 そんなアジ釣りだが、この日は最初から最後まで当たりっぱなしだ。ちょっとタナがズレても食う。船長からの指示ダナは「底から2メートル」。コマセを振らなくても食らいついてくる。もう船中、ブルルン祭りだ!

 愛知の連中も「この引きの鋭さはスゴい」「お江戸のアジは力強い」「ビシ釣りは迫力満点ですね」と目を丸くしていた。

 別にオレがホメられているわけじゃないが、東京湾の魚を評価してもらうとうれしいねぇ。アジ釣りなら子どもと一緒でも楽しいぞ。もし、釣りデビューしたいなら、アジ釣りにおいで。アジのバイブレーション、目いっぱい感じてくれ。

 この日はもうすぐに40匹に達しちゃったんで、午前9時前にサオをしまった。釣った魚をおいしく食べるなら、自分でさばける量にした方がいい。今回はみんな満足したみたい。いい釣りだったぜ。

 ▼川崎「つり幸」【電話】044・266・3189。アジ船の乗合出船は午前6時50分と午後0時30分。氷、コマセ、エサと仕掛け1組がついて6500円。女性、子ども割引あり。