山に行こう。谷に行こう-3月1日、関東近郊の主な渓流釣りが解禁となる。2018年が明けて以降、大雪をもたらした寒波が列島全体を直撃し、やや冷えこみのきつい日々が続いている。さあ、渓流はどうだろうか? 沢で魚を探して半世紀、日刊釣りペン・クラブ相吉(あいよし)孝顕さんが、各地区のデータを地図にまとめて、解禁直後の渓流遊びを紹介する。

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 都内でも身の震えるような異常な寒さが続きましたね。雪が降ってからは、毎朝冷凍庫の中にいるんじゃないかと思ってしまいました。

 「寒い」がキーワードとなった今冬でしたが、日当たりの良い河原では、プクッとしたかれんな綿帽子のネコヤナギが見られ、少しずつ春は近づいているのだなぁ、と目を細めてしまいました。

 さて、2月中旬、山梨・桂川をのぞいてきました。日陰の山肌には残雪がありました。そして、凍結した山道もありました。安全に解禁を楽しむために必要なのは、現地の状況を確かめることです。

 山里の狭い道路は、車を止める場所も限られています。仮に人家の裏などで絶好の駐車スペースがあっても、落ち葉の下が凍結している場合もあるので、安心せずに十分な注意喚起をしてください。

 渓流は深い谷底を流れるので、道路から続く斜面を見つけ、安全に河原までたどりつけるルートを探してください。多くの場合踏み跡がありますが、ここも凍結している場所もあるので、両手で周囲の灌木(かんぼく)などを利用して安全に降りてください。

 防寒は動きやすいことを念頭に置いて。そして、いたずらに動いてポイントを荒らさないこと。やや深みのあるトロ瀬に狙いを絞ることも必要ですね。

 渓流解禁とはいえ、まだ3月です。まだ、雪も降るかもしれません。山の奥では降り始めに道具をまとめて帰らないと「一里一尺」になる。一里が4キロ、一尺が30センチ-つまり4キロ歩いたら30センチ積もってしまうという積雪の勢いです。午後3時を過ぎると日陰も多くなるので、早めに現場をあがることを最優先にして、里の温泉でも楽しんでください。(相吉孝顕)

<おもな渓流ポイント>

 ◆鶴川 山梨・桂川水系の代表的な釣り場で首都圏からも中央道を使って約1時間の距離となる。地元漁協では昨秋の禁漁後、成魚放流も実施して、さらに今年も解禁前に魚を放しているので大きな期待を持ってみている。首都圏から近距離の水系ではあるが、渓相は変化に富んでいて奥に進むにしたがって深みもましてくる。初期のうちは猪丸から初戸、腰掛辺りで楽しんでもらいたい。山の斜面に点在する西原のたたずまいが心をいやしてくれるはずだ。

 ◆狩野川 温暖な伊豆半島で大見川や修善寺川(桂川)や持越川など多くの支流にも恵まれている。落差が少なく、岸にはアシが多く群生するため、遡行(そこう)に難渋してしまう。人気河川なので釣り人も多いが、持越川、猫越川、本谷川が歩くには無難であろう。漁協による解禁前の成魚放流は本流の宮田橋や殿淵など大場所から主体となってい

 ◆須玉川 山梨・釜無川水系。大門川や川俣川を合わせ、中央道の須玉インター近くで塩川に入り込む。津金発電所から下流は、開放感のある渓相で、南方に流れているので日当たりは抜群にいい。須玉付近から入ると、万年橋前約3キロほど広い河原で存分サオを振ることができる。地元漁協では成魚放流は実施していないため、釣れる魚は実に美形だ。