ロコモティブシンドロームは、運動器の障害により移動機能が低下し、要介護のリスクが高まる状態を言います。通称ロコモと呼ばれ、寝たきりの原因となります。50歳代以上の約7割が、ロコモの恐れがあるといわれています。

 ロコモの原因となる病気は、変形性関節症、骨粗しょう症、変形性脊椎症などです。関節リウマチもロコモの原因となり、関節の痛みやマヒなどによって体力、移動能力の低下をきたします。加齢そのものによっても身体機能は衰え、筋力やバランス能力の低下により、自分でも気付かないうちにロコモになっているケースもあります。

 階段を使わずにエスカレーターばかり乗っている、移動は車移動、週末も運動することはないなどの状態が続くと、筋力低下が加速します。かなり意識していないと、つい便利なものに頼ってすぐに運動不足になってしまいますね。

 特に足の筋肉は他の部位よりも加齢によって衰えやすくなっています。何もしなければ、筋肉量は20歳から80歳にかけて平均約40%減ってしまいます。

 次の項目に心当たりがあると、ロコモの危険があります。

 ・片足立ちで靴下が履けない

 ・家の中でつまずく

 ・長い時間続けて歩けない

 ・階段を上るのに手すりがいる

 ・買い物で重いものを持って帰れない

 ロコモを防ぐには、体を動かす部位を鍛えることが大切です。足中心のロコモ対策を2つ紹介します。

 (1)片足立ち 机など支えがある場所で、姿勢を真っすぐにして、足を床から少し離して片足立ち。1日3回、片足ごと1分間ずつやりましょう。

 (2)スクワット 足は肩幅、つま先は少し外を向かせます。背中を真っすぐにして、膝がつま先より前に出ないように、お尻を引きながら膝を曲げます。1日3回、ゆっくり5~6回行いましょう。

 ロコモにならないためには、運動習慣に加え、食事にも気をつけましょう。バランスの良い食事で、筋肉をつくるタンパク質や、骨をつくるカルシウムなどをしっかり取りましょう。

 ◆真鍋歩(まなべ・あゆむ)医師・医学博士。1984年(昭59)7月6日生まれ、東京都出身。日大医学部卒。専門は眼科。現在、日大病院眼科研究医員として臨床・研究に従事しながら、メドピアグループが提供するオンライン医療相談サービス「first call」運営に参画。自身も同サービスで健康相談に応じる。