加齢黄斑(おうはん)変性症は、50歳以上の方に深刻な視力障害をもたらします。日本人の失明原因の4番目に多い目の病気です。食生活の欧米化と関連があるといわれており、今後より増えていくことが予想されます。

 加齢黄斑変性症は、目の網膜という組織の中心にある「黄斑」という部分に異常が起こり、深刻な視力障害を引き起こします。症状は、視界の真ん中がかすんで見えたり、線がゆがんで見えたりします。しかし、普段両目で見ていると意外に気付きにくいことが多く、片目ずつチェックすることが重要です。このようなチェックシートを使って自分でチェックできます。

 加齢黄斑変性症はその名前の通り、加齢に伴い発症します。50歳以上の全ての人に発症する可能性があり、原因としては遺伝によるもの、生活習慣によるものがあります。特にたばこを吸っている人は、吸っていない人に比べて3・5倍発症のリスクが上がるといわれています。高血圧、紫外線、肥満などとの関連も報告されています。

 加齢黄斑変性症の治療は、薬物の眼内注射療法が一般的です。レーザー治療ができる場合もあります。早期にこれらの治療ができれば、低下した視力が回復できる可能性がありますが、定期的な通院が必要となります。

 放置しておくと失明につながる可能性がある病気なので、日頃のセルフチェックがとても重要です。もし見え方がおかしいと思ったら、眼科医に相談してください。

 ◆真鍋歩(まなべ・あゆむ)医師・医学博士。1984年(昭59)7月6日生まれ、東京都出身。日大医学部卒。専門は眼科。現在、日大病院眼科研究医員として臨床・研究に従事しながら、メドピアグループが提供するオンライン医療相談サービス「first call」運営に参画。自身も同サービスで健康相談に応じる。