防御率リーグ3位で巨人キラーとして活躍した阪神ジェイソン・スタンリッジ投手(35)の退団が決定的となったことが13日、分かった。去就は韓国のセーブ王・呉昇桓(サムスン)の獲得次第となっていたが、呉との交渉が難航。球団は呉の成否にかかわらずストッパー候補の獲得を最優先する方針で、残留を求めたスタンリッジ側が求める期限内に回答できなくなった。FA宣言した久保に続き、ローテーションの柱となりうる右腕がチームを去る危機だ。

 10年途中の入団から先発ローテーションの一角を務めてきたスタンリッジの退団が決定的となった。この日までにメッセンジャーは契約延長で大筋合意に達し、マートンも残留濃厚、さらに新4番候補ゴメスの獲得も決定的で、1軍外国人枠4人は残り1つとなっていた。

 球団はストッパー候補の呉昇桓次第で、スタンリッジの去就を決める方針だった。ここまで呉との交渉が難航していることで、スタンリッジ側が今月15日に定めた返答期限内に回答できない可能性が高くなった。

 「(回答期限まで)あと2、3日あるけど、泣く泣くです。こちらとしては残ってほしかったが、向こうの立場もありますから」

 球団幹部はこう説明した。スタンリッジは07年にソフトバンクに入団した。1度、米大リーグに戻っていたところを10年の開幕直後に阪神が獲得した。先発要員として4年間で35勝を挙げた。今季も26試合に登板して、8勝12敗と勝ち星にこそ恵まれなかったが、リーグ3位の防御率2・74と好成績を残した。特に巨人戦で強さを発揮し、王者を相手に7試合で対戦防御率2・28。阪神投手史上初めて、東京ドームでシーズン2度の完封勝利を収めた。

 日本野球を知り尽くした貴重な戦力を手放すことになるが、球団関係者は既存の戦力としては投打の柱であるメッセンジャー、マートンの残留が優先だったこと、さらにスタンリッジの年齢的な不安も退団に至った要因に挙げている。

 前日12日には久保がFA宣言する意思を球団に伝えた。これに続いてスタンリッジまで球団を去ることが決定的となり、来季の先発陣に不安は残る。球団は、仮に呉との交渉が不調に終わった場合も残る外国人1枠は先発ではなく、あくまでストッパー候補の新外国人獲得に乗り出す方針を固めた。ソフトバンクを退団したファルケンボーグらの候補から、来季の必勝方程式を任せられる投手を探していく。阪神の外国人補強戦略がにわかに、大きく動き出した。

 ◆どうなる来季の虎投

 今季ローテを守った4人のうち能見とメッセンジャー、藤浪が残る。榎田は左肘への不安が残り、岩田は2勝に終わった。先発の一角を任せる予定だった久保はFA移籍が濃厚で、秋山や鶴、白仁田、小嶋、岩本のほか、先発転向を目指す筒井に期待することになる。救援陣は福原、安藤、加藤のベテランに加えて松田も台頭。ストッパーとして呉昇桓の獲得を目指す。ドラフトで1位岩貞ら3人を指名してロッテ戦力外の吉見の加入が決定的など、左腕の充実を図っている。

 ◆外国人の1軍枠

 野球協約では出場選手登録(1軍枠)は4人以内で、投手または野手として同時に登録できるのは、それぞれ3人以内と決められている。阪神は今季、開幕時に投手はメッセンジャーとスタンリッジ、野手はコンラッドとマートンでスタート。コンラッドが不調で2軍落ちしてから、途中加入したボイヤーやザラテが出場選手登録された。

 ◆ジェイソン・ウエイン・スタンリッジ

 1978年11月9日、米アラバマ州出身。97年ドラフトでデビルレイズ入団。01年にメジャーデビュー。レンジャーズ、レッズ、ロイヤルズと移籍。メジャー通算7年で80試合3勝9敗、防御率5・80。07年途中からソフトバンク入団。10年4月に阪神入りし2桁の10勝をマーク。11年6月には阪神の外国人投手として初の月間MVP。191センチ、110キロ、右投げ右打ち。今季推定年俸は1億4400万円。