NHK連続テレビ小説「マッサン」でヒロインを演じた米女優シャーロット・ケイト・フォックス(29)が、テレビ朝日系ドラマスペシャル「名探偵キャサリン」(9月放送予定)に主演することが20日、分かった。作家山村美紗さんの同名小説のドラマ化で、米副大統領の1人娘を演じる。民放ドラマ初主演となる。全編ほぼ日本語の演技で、美空ひばりさんの名曲「愛燦々」の歌唱も披露する。

 シャーロットは、貞淑な妻を体現した「マッサン」のエリーから一転、「名探偵キャサリン」では、自由奔放な米富豪のビジネスウーマン役に挑戦する。収録は今月上旬から京都で行っている。「まったく違う役をやりたかった。エリーは誠実な人だったけど、キャサリンは、エリーほど礼儀正しくない。エリーが体に残っているので、全然違うキャラクターはすごく面白い」と楽しみながら現場に立っている。

 原作は「キャサリンシリーズ」と呼ばれる山村美紗さんの人気推理小説シリーズ。米副大統領の娘キャサリン・ターナーが日本で事件に巻き込まれ、自ら事件解決に奔走する姿を描く。中込卓也プロデューサーは「おてんば娘の奔放な行動とロマンス。『ローマの休日』です」と名作映画をイメージ作品として挙げた。今年初めに企画され、ヒロイン役としてシャーロットに白羽の矢を立てた。

 シャーロットは一昨年秋、日本語を話せないまま「マッサン」のオーディションを受けた。体調を崩したこともあったが、長丁場の収録を無事に終え、作品評価も高かった。

 演じるキャサリンは、米コロンビア大卒業後、ファミリーが経営する企業で働く女性で性格はおてんばの設定。「華道」をビジネスに取り入れるため単身で日本に滞在する。シャーロットは「キャサリンのような強い女性は好き」と話す。収録では「茶室」「青酸カリ」など発音しにくい日本語セリフとも格闘中。「新しい言葉。難しいです」。

 華道の場面では「愛燦々」の歌唱にも挑戦した。日本では歌手活動も行い、今年秋にはミュージカル「シカゴ」主演も決まっているが、ひばりさんの名曲は「難しい」と笑う。

 相手役の大学准教授を演じる谷原章介(43)についても「心が広く、気遣いがあり、面白く、地に足着いた方。あっという間に打ち解けました」と話すなどコンビ仲も良好の様子。制作側はシリーズ化も視野に入れている。【村上久美子】

 ◆シャーロット・ケイト・フォックス 1985年8月14日、米ニューメキシコ生まれ。カレッジ・オブ・サンタフェの演劇ダンス専攻でBFA(学士)、ノーザンイリノイ大学の演劇専攻でMFA(修士)修了。米ミュージカル「CHICAGO」地方公演で主演経験も。14~15年NHK連続テレビ小説「マッサン」で日本デビュー。今年4月に同ドラマ劇中で歌った「ゴンドラの唄」をシングル化して歌手デビュー。今年秋にミュージカル「シカゴ」で日米主演。167センチ。

 ◆「名探偵キャサリン」 米副大統領の娘として公務に同行来日したキャサリンは米国でのビジネスに華道を取り入れる目的のため父の帰国後も日本に滞在する。副大統領と懇意の外相の浜口は日本滞在時のエスコート役を甥(おい)の一郎(谷原章介)に命じた。キャサリンは友人女性が犠牲となった殺人事件の真相解明のため奔走し、警察顔負けの名探偵ぶりを発揮していく。共演は里見浩太朗、尾上松也、高岡早紀ら。

 ◆「キャサリンシリーズ」 75年「花の棺」が第1作。その後「百人一首殺人事件」などが発表された。79年に主役を男性に変更した藤田まことさん主演のテレビ朝日系「京都殺人案内・花の棺」が初の映像化。88年にフジテレビ系連作ドラマの1作としてマリアン主演で映像化。96年にTBS系がかたせ梨乃が社長令嬢カメラマン希麻倫子の設定で主演した「名探偵キャサリン」シリーズを06年まで15回放送。