大阪桐蔭に怪物1年生・中田/高校野球
<全国高校野球選手権:大阪桐蔭9−7春日部共栄>◇3日目◇8日◇甲子園◇1回戦
大阪桐蔭(大阪)がスーパー1年生・中田翔の投打にわたる活躍で、春日部共栄(埼玉)に9−7と逆転勝ちした。先発したプロ注目の剛腕・辻内崇伸投手(3年)は、国内左腕では最速の156キロをマークしたが、制球が定まらず6失点で5回途中降板。このピンチを、リリーフの中田が打っても決勝本塁打するなどして救った。
平成生まれのスーパー1年生が、先輩を救った。2点リードの9回2死満塁。絶体絶命のピンチでマウンドに仁王立ちしたのは背番号1の辻内ではなく、17番を付けた中田だった。カウント2−2からの5球目。「打たれても先輩が守ってくれる。思い切って、投げるだけ」。小指から血の滴る右手で放った渾身(こんしん)のボールは、この日最速の146キロ。長瀬のバットが空を切ると、さすがの強心臓1年生も頭が真っ白になった。「ガッツポーズ? 無意識です。うれしいのひと言でした」。白い歯を見せ、16歳らしいあどけない表情で笑った。
よもやの不調の辻内に代わり、5回に立った甲子園の初マウンド。「緊張よりもワクワクした」。6回には投球の際、右手親指のつめで小指の第1関節を約1センチ切った。血は止まらず、ユニホームの右太もも部分は血で赤く染まったが「気を抜いたら打たれる」と自分に言い聞かせた。4回1/3を自責点1、6三振を奪う気迫の投球でチームを救った。西谷監督も「1年生には酷な場面で、よく頑張ってくれた」と手放しでたたえた。
打撃でも主役を張った。同点の7回の先頭。高めの直球を思い切りたたいた。「真芯(しん)はとらえてない。ツーベースかな」と思った打球は特大の放物線を描き、左中間スタンドへ。推定120メートルの決勝弾をたたき込んだ。5打数4安打3打点で打線をけん引。1年生で本塁打を打った勝ち投手は、83年夏の桑田以来の快挙だ。
「アイツはもう、高校4年みたいや」。高校通算65本塁打の4番平田が苦笑いした。中田の本塁打は県大会準決勝から3試合連続。春の覇者・愛工大名電と6月に行った練習試合でも特大アーチをかけている。とにかく大舞台に強い。「全力が僕の持ち味。次も全力で行く」。甲子園がまた1人、怪物を生み出した。【太田尚樹】
[2005/8/9/09:32 紙面から]
写真=7回裏大阪桐蔭無死、中田は左越えに勝ち越しのソロ本塁打を放つ
|