ジュサブロー、フェートノーザン、ライデンリーダー、トミシノポルンガ、レジェンドハンター、ゴールドプルーフ。いずれも東海公営で一時代を築いた名馬たちだ。

 今年の東海公営には、その名馬たちの域に近づけるような新たな候補がいる。現在、無傷の10戦10勝で6月5日の東海ダービー(SP1、ダート1900メートル、名古屋)を狙うサムライドライブ(牝3、名古屋・角田輝)である。

 「初めて見たのはセリの時。小柄でもバランスの取れた好馬体でした」と昨年、通算3000勝を達成した角田輝也師(54)が振り返る。その後、弥富トレセン入厩時には、スタッフや他の調教師からも「今年の1番馬」の声があがった。

 2歳時は4戦4勝。折り合い面も若駒離れしていた。3歳でも重賞ばかり6連勝。前走は1冠目の駿蹄賞を制し、もはや東海では敵無し。3歳早々、周囲からは他地区遠征や中央挑戦の声も出た。しかし、師は最大目標の東海ダービーまで名古屋だけと明言した。

 「環境の変化に過敏で初距離のゲートではすぐに入らなかったり、まだ体質もひ弱。1度調子を崩すと、元に戻らないこともある。これだけの馬は馬主さんや自分だけでなく、名古屋の宝物。自分にはこの宝物を輝かせる役目がある。これからも冷静な判断が必要」

 過去に師は重賞7勝で統一G3かきつばた記念3着のサイモンロードを管理していた。ジュサブローも師の父がオーナーだった。名馬の器を知る師は「あのレベルまでには、もっとステップを踏む必要がある。ただ、無敗は魅力。名馬への可能性を秘めてはいる」と期待を込める。

 無敗の東海ダービー馬誕生なら86年ミナミマドンナ以来32年ぶりの快挙。久しぶりに現れた東海公営の名馬候補で“名古屋の至宝”を名伯楽が今後、どう輝かせるか目が離せない。