日刊MVPに鈴木圭一郎(22=浜松)が輝いた。日刊スポーツ新聞社制定「第29回オートレース年間三賞」の選考委員会が18日に行われ、16年の殊勲賞にSG優勝3回の鈴木を選出した。敢闘賞はSG優勝1回で年間最多勝の青山周平(32=伊勢崎)、技能賞はSG優勝2回の中村雅人(35=川口)に決まった。受賞3選手とも旧船橋勢。表彰式は2月28日に東京・品川プリンスホテルで行われる。

 昨年はまさに「圭一郎イヤー」だった。飛躍のきっかけとなったのは、3月の川口開設記念GPだ。鈴木圭一郎は史上最年少でG1優勝を達成。初めてのグレードレース制覇を「気持ちがすごく楽になって、その後はスタートでも緊張しなくなった」と振り返る。

 10月川口の全日本選抜では、史上最年少&デビュー最短でSG優勝を成し遂げた。「エンジンはずっと良かった」と調整力にも磨きをかけた。勢いは加速する。11月のSG日本選手権では完全優勝。11年高橋貢以来9人目(延べ11回目)の快挙だ。もちろん、史上最年少&デビュー最短。「いい状態で不安がないのが怖いぐらい」と話すほど車を仕上げた。最高峰レースのスーパースター王座決定戦を制し、頂点に立った。日刊MVPが確定。取得賞金は1億1167万2605円となり、賞金王も獲得した。優勝はSG3回、G1・3回を含めて最多の10回。「記録ハンター」の異名にふさわしい活躍ぶりだった。

 レースでは狙った獲物を一撃で仕留める。全日本選抜では、最終回4角で内を突き、ゴール寸前で青山周平を抜き去った。SS王座決定戦では、最終回1角で同じ青山をさばいた。車の力をしっかりと温存し、チャンスで爆発させる。「何度も抜こうとすると、終盤でもたなくなるから」。SGなら10周回を考えた乗り方をする。

 レース場には先入観を持たずに臨む。「好きなコースとか天候とかはない」。パーツ交換などの仕上げは臨機応変でロッカーではいつでも車と向き合っている。7歳からポケバイに乗っており「バイクのそばにいるのが楽しい」が本音。そんな男だからこそ昨年の活躍があった。

 デビュー4年目の22歳が、オート界の常識を覆すレベルの成績を残した。元日には家族で自宅近くの柴又帝釈天に初詣へ。「昨年はSG優勝のお願いをかなえてくれたので、感謝を伝えた」。今年の目標は「ここまでランクは下がったことがないし、順調に上がるようにしたい」と明確だ。S級1位の勲章を加えて、2年連続の日刊MVP奪取を狙う。【天野保彦】

 ◆鈴木圭一郎(すずき・けいいちろう)1994年(平6)11月30日、東京都生まれ。2013年デビュー。昨年4月に船橋から浜松に移籍。S級3位。SG優勝は16年SS王座決定戦、同日本選手権、同全日本選抜の3回。独身。東京都葛飾区の実家で両親と同居。趣味は釣り、車。159センチ、51キロ、血液型A。