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松井繁初V、病の父との約束果たす/競艇

<尼崎競艇:全日本選手権>◇最終日◇13日◇SG

 王者の目に光るものがあった。松井繁(39=大阪)がインから圧倒的な逃げ切りで、ダービー初制覇を飾った。今年は初のSG優勝で通算9度目、歴代単独4位となった。尼崎は、若き日の思い出が詰まった水面。松井にとっても特別な優勝だった。さらに、病に伏す父に健闘を約束しての参戦でもあった。感極まった王者の目には涙が浮かんだ。この優勝で賞金ランクはトップに浮上。この後のチャレンジカップ、そして賞金王決定戦と年間SG3勝に王者が照準を合わせた。

 地元同然の尼崎でダービー初制覇を成し遂げ、表彰式では、はじける笑顔でファンの声援に応えた。王者が共同インタビューで突然、感極まった。「今回は尼崎でやることもあったけど、勝ちたかった…」。そう話すとタオルで目頭を押さえた。父・武弘さんとの“約束”だった。前検日、家を出発しようとした松井は、父に初めて「頑張ってくる」と声をかけた。この言葉には大きな意味が込められていた。

 8月、SG「MB記念」(丸亀)に入る前、松井に衝撃の知らせが届いた。父親が病に伏せていることが分かったのだ。気持ちを整理して臨んだシリーズだが、優勝戦は2着に敗れた。「帰ったら親父に『わしのせいで2着になって悪かった』と言われて。丸亀の分も、今回は勝つつもりできた」。病気と闘っている最中もレースを見てくれて、わが身より最愛の息子の走りを見守ってくれたのだ。

 恩返しをしたい気持ちでファイナルに臨んだ。「プレッシャーもかかった」。スタート展示と本番で中、外枠勢の進入が変わっても心はブレなかった。インから伸び返す足に仕上げ、ダービー初優勝という最高の報告を果たすことができた。「うれしさはあるけど、まだ(レースは)これからなんで、喜びは一瞬だと思います」。そう話すと競艇選手・松井繁の顔に戻った。

 これで獲得賞金は池田浩二を抜いてトップに躍り出た。賞金王決定戦の初日トライアル1枠取りへ視界良好だが、今年はまだやり残したことがある。「今年は年間SG3勝と言ってきたから。次のチャレンジC(常滑)と賞金王決定戦を勝って…ね」。ファンへの公約を果たすため、王者は年間SG3勝取りへ、年末まで突っ走る。【津波謙次】

 [2009年10月14日9時3分 紙面から]


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