怪物滝沢引退会見「悔いはありません」
怪物・滝沢正光(48=千葉)が笑顔でバンクに別れを告げた。27日、都内のホテルで報道陣、関係者約100人を集めて会見を開き、正式に引退を表明。選手と日本競輪学校の名誉教官との両立が難しくなったことを最大の理由に挙げた。今後は「第2の滝沢」を育てることに専念する。
滝沢の人柄そのままの引退会見だった。「富山記念の最終日をもちまして、私、滝沢正光は……引退することを決意いたしました」。ひと言ひと言、確認するように、引退の理由をきまじめに語る。「選手と競輪学校の(名誉)教官との2つのことが、不器用な自分にはうまくいかなくて、このままじゃ、大変なことになる」。来期(7月)からA級に降級することも影響したもようで、「当初は走る気持ちが強かったんですが、6月に入って急激に不安が出てきた」と続けた。
涙はない。時折、人懐っこい笑顔を見せながら、1つ1つの質問にぼくとつに答える。思い出については、「初めてG1を勝った、地元千葉ダービーですね」と白い歯をのぞかせ、辛かったことについては、若いころの酒の上での失敗で、あっせん停止になったことを挙げ、笑いを誘いながら「おふくろには泣かれたし、選手を辞めろと言われた」と懸命に汗をふいた。
29年3カ月の選手生活には満足している。全盛時は躍動感あふれる先行で、中野浩一氏、井上茂徳氏らと数々の激闘を演じてきた。GPとG1を14勝、グランドスラム、13回連続優勝、年間優勝18回…。だが、数々の記録以上に「滝沢が2周先行しても、後ろは1本棒のまま」という圧倒的な強さで、ファンの印象に残った。今月の松戸F1、富山記念では再び先行に挑み、「体力的には苦しかったですが、充実感があった。先行は自分に一番合っていました」と振り返る。
今後は競輪学校の教官に専念し、後進の指導に当たる。「魅力ある選手には、必ずお客さんも期待している。そういう選手を育てるお手伝いをしたい」。寛仁親王牌開催中の7月6日前橋では引退セレモニーが行われ、先着2000人にオリジナルTシャツを贈る予定。「こんな幸せな競輪人生を送れて、悔いはありません」。怪物がさわやかにバンクを後にする。
[2008年6月28日9時58分 紙面から]
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