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キングスV頭差こらえた/菊花賞

アサクサキングス(左)は壮絶なたたき合いを演じ、菊花賞を制する
アサクサキングス(左)は壮絶なたたき合いを演じ、菊花賞を制する

<菊花賞>◇21日=京都◇G1◇3歳◇芝3000メートル◇出走18頭

 アサクサキングス(牡、栗東・大久保龍)がG1初制覇を飾った。勝ち時計は3分5秒1。管理する大久保龍志師(41)も初のG1勝ちとなり、父正陽元調教師とレース史上2組目の親子制覇を果たした。四位洋文騎手(34)は歴代17人目の3冠ジョッキーに輝き、ダービーをウオッカで制していることから、史上初の「異なる馬による同一年ダービー、菊花賞制覇」も達成。2着にはアルナスラインが入り、1番人気のロックドゥカンブは3着に終わった。

 壮絶なたたき合いだ。アサクサキングスか、アルナスラインか、手に汗握る接戦。だが、大久保龍師は確信していた。「この形になったらキングスは絶対に抜かせない」。内にモタれそうになるところを四位騎手が立て直し、手綱を押し、右ムチを振るった。約300メートルの長い攻防。「達人」と表される四位のバランスが崩れるほど人馬ともフラフラだった。それでも、やはりキングスは抜かせず先頭でゴールを駆け抜けた。

 「脱力です。勝った瞬間も浮いているような感じ。でも、馬の力を信じていた」。頭差でもぎ取った勝利は、トレーナーにとっても馬にとっても、初G1タイトルだった。「龍志、おめでとう」。父である正陽元調教師(72)が、息子にゆっくりと手を差し出した。龍志師は「珍しく握手してくれて、感動しました」とほほえんだ。88年スーパークリークの伊藤修司元調教師以来、史上2組目の菊花賞親子制覇だ。

 父は「いつも来てるわけではないんだよ。競馬場に来たのはダービーの時以来かな。春の涙が、今は秋の空に変わった」と、秋晴れの空を見上げた。3冠馬ナリタブライアン、天皇賞(春)、宝塚記念を制したエリモジョージなど、G1制覇は実に11を数える名伯楽だが、息子に特別なことは教えていない。「本人任せだよ。時代の流れが違う」。そんな父の背中を息子は見て、考え、吸収し、前へ進んできた。

 それでも、息子に伝えたことがある。「周囲の人に慕われる、信頼されるようにならないと」。その言葉通り、龍志師は揺るぎない縁で結ばれた。同師は「キングスは、亡くなったオーナーに初めて買ってもらった馬なんです」と明かす。キングスは、今年1月4日に死去した田原源一郎氏(享年77)と携帯電話でやり取りしながら競り落とした馬。きさらぎ賞での重賞初制覇は亡くなった後だったが、源一郎氏にとって最後の特別勝ちがキングスの百日草特別だった。「きっと、オーナーが後押ししてくれたんだと思う」。

 ダービーで牝馬ウオッカに敗れ2着だったキングスだが、これで3歳牡馬最強の称号を手にした。龍志師は「この先は皆さんが考えている通り。丈夫な馬だし、年内あと2戦ぐらいは…」とプランを示唆した。それはすなわちジャパンC→有馬記念。キングスはさまざまな思いを乗せて飛躍し続ける。【和田美保】

[2007年10月22日8時16分 紙面から]

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