日本代表MF香川真司(21=ドルトムント)が「トップ下」を熱望した。日本代表は30日、大阪府内で来年1月7日開幕のアジア杯(カタール)へ向けた代表合宿3日目の練習を行った。香川は「3-4-3」の左サイドでプレーし、紅白戦では決勝点を決めた。新システムになじむ一方で、ドルトムントでプレーする位置にも「チャンスがあれば」と意欲を見せた。4-4-2のトップ下はMF本田圭佑(24)と競合するが、成長著しい香川の自己主張は揺るがない。

 鮮やかなループで、浪速のサッカーファンを沸かせた。今合宿初の紅白戦。香川はFW李を軸にMF松井と3トップを形成し、終了間際ゴールへ向かった。飛び出してきたGKにフェイントを入れ、左足で浮かせる。ボールは20メートル離れた右ポストに当たり、ゴールに吸い込まれた。調整とはいえ、ドイツで見せる勝負強さを披露した。

 香川

 (3トップは)自由に左右へ動けるけど、前に人がいない難しさはある。どうしても真ん中でやりたいという気持ちが出てしまいます。(トップ下は)チャンスがあれば。ずっとやっているので。

 ザッケローニ監督が前日29日から取り入れた3-4-3システム。決して3トップになじめていないわけではない。C大阪では、この日と同じ左の1・5列目でプレーした。だが、7月に移籍したドルトムントではトップ下で得点力が開花。相手の裏へ抜け出す才能で、リーグ戦17試合で8得点とゴールを量産している。香川も「ドイツでもまれて、ゴールに対する意識を考えるようになった」と成長を感じるほど、より自由に動ける位置なのだ。

 ただ、定位置獲得への壁は高い。4-4-2のトップ下を狙えば、競合するのは3トップで共存する本田圭。「キープ力がすごい」と感心する先輩への“挑戦状”に、香川は「それは監督が決めることなので」と初手から、トップ下争いから引く気持ちはない。今回から背負うのは本田圭が熱望していた「10」。背番号に続き、ポジションも奪う意気込みはある。

 香川

 アジアは引いて守ってくる相手が多いから、難しい戦いになると思う。力の差があっても、ゴールは決められない。引かれた相手にも辛抱強くやっていかないと。アジア杯まで時間があるので、もっともっと上げる必要がある。

 いかに点を奪うか。そのために、本田圭相手のトップ下争奪戦に堂々の名乗りを上げた。【近間康隆】