【ドーハ(カタール)=23日】日本に追い風が吹いた。常に一枚岩で日本戦に臨む韓国が、火種を抱えていることが分かった。昨季Kリーグ得点王のFW兪炳守(ユ・ビョンス=22)が、起用法をめぐり自身のブログに趙広来(チョ・グンレ)監督(56)への批判めいたことを書き込み、問題になっていることが判明した。また準決勝まで中2日と日本より1日少なく、22日の準々決勝イラン戦では延長戦の末の1-0の辛勝で、選手の体力消耗も激しい上に、守備の要・李正秀(イ・ジョンス=31)が出場停止と、日本に有利な材料がそろった。

 延長死闘の末、イランに1-0で勝った韓国の趙広来監督が、開口一番強調した。「今大会のどのチームより、23人全選手が協力し合うところが韓国の強みです」。イランのカウンターに苦しみながらも、途中出場のMF尹ビッカラムが延長前半15分に左足ミドルで決勝点を挙げた。チームの雰囲気も最高点に達したと、同監督はあえて「和」を強調した。

 しかし、現実は違っていた。1次リーグ第2戦のオーストラリア戦(14日)で、後半途中から出場したFW兪炳守が、20分で途中交代され、問題が起きた。試合直後ブログに「たったの20分でオレのサッカー人生がむなしく終わった」と、起用法への疑問を書き込んだ。これがネット上で広がり、韓国協会の盧副会長が監督に直接電話で事情聴取する事態に発展した。その後、書き込みは消され、趙広来監督が兪炳守を呼んで真意を聞くなど、波紋は広がった。

 韓国側は「選手の認識不足によるちょっとしたハプニング」と説明したが、その後、兪炳守は1度も起用されていない。高速ドリブルと力強いシュートで「韓国のC・ロナルド」と呼ばれ、今大会はスーパーサブとして期待されていた若きストライカーが、一瞬にしてチームのお荷物となった。全員の結束力で日本に立ち向かう、今までの韓国からは考えられない事態だ。

 さらに全試合に先発出場した守備の軸・李正秀が、イラン戦後半32分に今大会2枚目の警告を受けたため、日本戦は出場停止となった。準々決勝の日程が日本より1日遅かった上、延長まで戦ったことで体力を消耗、回復もままならない状況だ。この日の練習は選手の疲労を考慮し、急きょキャンセル。それでも趙広来監督は「私は現役時代も監督になってからも、1度も日本を恐れたことがない」と強気だ。

 元韓国代表のDF洪明甫は「日本戦は特別で、どんな状況でもみんな死ぬ気で戦う」と話したことがある。“内紛”や疲労、主力欠場でひるむ韓国ではないはず。しかし順風満帆ではないことだけは確かだ。【盧載鎭】