16年リオデジャネイロ五輪のアジア最終予選を兼ねるU-23(23歳以下)アジア選手権(来年1月12日開幕、カタール)の組み合わせ抽選が明日12日、ドーハで行われる。出場16チームのうち、わずか3枠という狭き門を突破するためのキーマンがFW久保裕也(21=ヤングボーイズ)。U-22日本代表の海外組1号として19歳からスイスでプレーする男が、サッカー人生で初の世界大会となる五輪出場への思いを語った。

 手に汗握る組み合わせ抽選を、久保はスイスの首都ベルンで泰然自若に待つ。6大会連続の五輪がかかる最終予選。日本は予備抽選の結果次第で第3ポットに落ち、1次リーグが「死の組」となる可能性がある。「厳しい状況かもしれないけど、いいんじゃないですかね」。運命の日を前にしても自然体で笑う。だが出場の使命には燃えている。

 久保 絶対に五輪に出場しないと。(リオ世代が負け続けている)イラクや韓国は気になるし、やっぱりリベンジの思いはある。同じ相手に何回も負けるわけにはいかない。ましてや本戦。絶対に勝って最終予選を突破し、相手を沈めるくらいの気持ちで戦いたい。

 3月の1次予選は開催国マレーシア戦(1-0)で決勝点を奪って最終予選に導いた。ただ、気温差30度の寒暖差や欧州からの長距離移動で不完全燃焼。実は左足首を捻挫していた影響もあり満足できなかった。

 久保 海外組って、特別ではないけど責任はあると思っていた。その中でコンディション調整できず、いいプレーがあまりできなかった。最終予選ではプレーと結果で示したいと思う。

 高校3年の12年2月にA代表入り。13年夏に19歳でスイスへ渡った。公式戦89試合に出場。J2京都時代の69試合を既に上回る。昨季は欧州リーグのスロバン・ブラチスラバ(スロバキア)戦で1試合2発。岡崎慎司以来、日本人2人目の快挙だった。現在はリーグ戦で23日シオン戦、30日グラスホッパー戦と2戦連発中。好調を維持している。

 久保 スイスに来たころはスタメンで出られず、ほとんど途中出場で終わっていた。最近はずっと先発。昔は余裕がなかったプレーも徐々に落ち着いてきた。だからU-22代表のことも考えられるようになった。

 リオ世代の中核は12年のU-19選手権、14年のU-22選手権とアジア大会で3連続ベスト8止まり。久保も世界大会と縁がない。世代別では最後のチャンスとなる大舞台へ、中立地で集中開催の最終予選に挑む。

 久保 すごくタフな試合が予想される。3枠しかないし全然、甘くはない。一発勝負だし、そこに向けた集中が最も大事ですよね。

 U-22代表ではMF遠藤(湘南)やFW浅野(広島)がA代表デビューを遂げた。リオ世代の海外組1号として先頭を走ってきた久保も、負けていられない。

 久保 僕も呼ばれたいと思います、すごく。刺激になります。結果を出せば呼ばれる場所で、五輪世代でも入っていけるんだって。

 最終予選まで4カ月。久保とFW南野(ザルツブルク)を招集するため、日本協会の霜田技術委員長とU-22代表の手倉森監督が欧州に入っている。招集されれば応じる意向の久保は「予選までタフな試合を多くこなしていきたい」。まずは抽選当日12日のリーグ再開戦(対ファドゥーツ)でプロ初の3戦連発を狙う。

 ◆リオ五輪への道 来年1月の第2回U-23アジア選手権が五輪最終予選を兼ねる。43の国と地域が参加の1次予選を勝ち上がった15チームに、開催国カタールを加えた16チームが参加。4組に分かれて実施される1次リーグの各組上位2位(計8カ国)が決勝トーナメントに進み、3位までに出場権が与えられる。予選は前回大会までのホームアンドアウェー方式ではなく、中立地でのセントラル方式で行われる。