日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)が選手のコンディションチェックのため「別便移動」を敢行した。チームは8日にオマーンで行われるW杯アジア2次予選シリア戦に向け、4日深夜に関西空港から出発した。ハリルホジッチ監督も同便で向かう予定だったが、3日に欧州各国で行われたリーグ戦の映像チェックを優先するため、急きょ自宅に近い羽田空港発の便に変更。指揮官が異例の単独行動で遠征に出掛けた。

 国内組の選手とともに、関西空港からオマーンへと向かうはずだったハリルホジッチ監督は、樋渡通訳と協会広報を伴い3人だけで羽田空港にやって来た。時間は午後11時前。その頃、監督不在の関西空港から出発することになった選手たちは、ちょうど航空機に乗り込むところだった。

 協会関係者によると、前日3日に急きょ出国便を変更したという。自宅で主に海外組の映像チェックを続けており、関西まで足を運んで搭乗する時間が惜しかったから。自ら「昨日は全試合見ました。ほとんど寝ていないから頭が痛い。ラグビーも見ましたから」と説明した。

 日本が快勝したラグビーW杯サモア戦もチェックする念の入れようだったが、便変更なら、会場に出向いて視察もできた4日の川崎F-G大阪戦(等々力)に姿はなく「まだ映像を見ていない」とあくまで海外組を重視。本当は寝坊での搭乗便変更では? という質問には「ノン」と完全否定し出国ゲートをくぐった。

 欧州では3日にハノーバーMF清武、ヘルタMF原口、ハンブルガーSVのDF酒井高、フランクフルトMF長谷部、レスターFW岡崎、サウサンプトンDF吉田らがリーグ戦でプレーした。これらを順次チェックしていけば相当な時間がかかる。さらにお気に入りのエディージャパンも、となれば少々お疲れモードで羽田に現れたのも、仕方ないか。

 経由地ドバイまでとはいえ、国内組と同行せず監督が単独行動で遠征に出掛けることは異例だ。国内組で臨んだ8月の東アジア杯の往路には乗り継ぎ地の上海でチーム全体を集めて食卓を囲んだ。コミュニケーションを重視するが、今回は同便移動よりも個々のコンディションを見定めることを最優先。ハリル流全開の旅立ちとなった。