「(昨年は)僕も、試合に出ていないのにチャンスをもらった。結果を出せなければ代表でも立場を失う、そんな気持ちでした。そう考えると、追い込まれた状況だからこそ、特に本田さんは何かを成し遂げてくれる感じがする。今までいろんな状況をくぐり抜けてきた人。だからこそ日本代表の中心にいる。今回の永嗣クン(GK川島)がそうだったように、追い込まれてからが強い」

 世界で最も競争の激しいプレミア暮らしは、はや5年目。切磋琢磨(せっさたくま)が日本を強くすると力説する。「若手の活躍はチームにプラスです。ベテランの選手が追い込まれた状況で結果を出すのもプラス。結果を出せなかったらはじかれる。どのポジション、どんな世界でも同じだと思います」。案外、今この時は日本にとって悪くない状況なのかもしれない。

 長谷部がけがを完治させて戻れば、腕章の行方がまた注目されるが、冷静に言った。「僕もハセさんも、自分がやらなきゃいけないことは分かっている。巻こうが巻かまいが、僕たちは変わらない。でも、キャプテンマークは予想以上に重い。巻くことで、ものすごいパワー、エネルギーを得られるというのも事実。引っ張っていかなきゃという気持ちが、一層強くなりました」。首位に立ったハリルジャパンをけん引した新主将。長谷部に続く2人目の主将も、頼れる男だ。【八反誠】

 ◆吉田麻也(よしだ・まや)1988年(昭63)8月24日、長崎県生まれ。名古屋の下部組織から07年にトップ昇格し、在籍3年でJ1通算71試合5得点。10年1月にオランダ1部VVVに移籍。12年8月にプレミアリーグのサウサンプトンに移籍した。08年北京、主将を務めた12年ロンドンの両五輪代表。10年1月に日本代表に初招集され、W杯ブラジル大会など国際Aマッチ通算73試合10得点。愛称はマヤ。11月に待望の第1子となる長女が誕生。家族は妻と1女。189センチ、78キロ。