【ドバイ(アラブ首長国連邦)23日】敵は荒れたピッチでもなく、相手のラフプレーでもない。W杯アジア3次予選バーレーン戦(26日)に向け、ドバイ合宿を行っている日本代表は2日連続で、試合球になると思われるボールを使って練習を行った。21日のバーレーンとイランの親善試合を視察した代表スタッフが使用されていたボールを確認し、現地で急きょ購入。これまで蹴ったことのないというボールに、選手は戸惑いを隠せなかった。

 2日続けて、最大のテーマは「ニューボール」だった。この日の練習は基本的に非公開。冒頭15分のみ公開され、そのなかで選手は感触を確認するように狭いスペースで細かいパスを回し、タッチ回数を増やす。GKもキャッチング練習を反復した。

 前日22日の練習では、MF遠藤が居残りでFKを蹴り続けていた。「少しボールが重い。ポーンと蹴ったら、ポーンと飛んでいっちゃう感じ。しっかりミートしたら飛んでいってしまう」。いつもは枠をとらえるはずのボールが、大きく外れて飛んでいった。

 バーレーンがイランとの親善試合で使用していたのは、アディダス社の「EURO

 PASS(ユーロパス)」。今夏の欧州選手権用のボールだ。日本から持ち込んだボールの中にはなく、スタッフが現地で10個(約10万円)購入し、この日の練習で初めて使った。W杯3次予選初戦のタイ戦(2月6日)でFKで先制点を決めている遠藤は「(力を)抑えるのが難しい。多少ブレたり、FKは難しいですね」と違和感を口にした。

 先発が濃厚なFW大久保も「ちょっと(感覚が)違う。重いのかな…」。変化の予測がしづらいことに、GK川口は「どんどんGKにとって不利なボールになっている。Jリーグで使っているボールにやっと慣れてきている中、短い期間で慣れる必要がある。リスクを冒すことはない。手ではじいて対応していきたい」と話した。

 3次予選はホスト国にボールの選択権があるため、相手が明かさない限り球種は分からない。代表スタッフは17日のドバイ入り前に、バーレーン側に使用球を問い合わせたが、いまだ返答なし。ユーロパスの使用も正式にアナウンスされたわけではない。「毎日、少しずつ止まったボールを蹴りながら、やっていくしかないですね。数多く蹴ること以外に方法はないんで」と遠藤。バーレーン戦まであと2日しかない。