追い詰められた日本代表の岡田武史監督(51)が敵情視察を封印した。日本代表スタッフは10日、東京・文京区のJFAハウスでスタッフ会議を行った。

 21日からの代表強化合宿へ向け、17日には代表候補を発表する。この日は選考過程のため、歯切れの悪い言葉が続いたが、この時だけはきっぱりと言った。オマーン視察について「僕は行かない」。スタッフ派遣の可能性は残したが、視察封印の顔には危機感がにじんだ。

 惨敗したバーレーン戦前の3月上旬には、極秘で0泊3日の弾丸視察をやってのけている。だが、バーレーンに敗れ状況は一変。得失点差でオマーンを抑え2組2位も、オマーンは侮れない。過去6試合で4勝2分けだが、最近は実力が接近。04年7月のアジア杯1次リーグ、同10月W杯アジア1次予選ともに1-0の辛勝で冷や汗をかいている。

 岡田監督は「オマーンのビデオは全部ある。もう見た」と、戦力分析に着手したことをうかがわせたが、敵情視察に時間を割いている余裕はないのが本音だろう。30人前後を招集して強化合宿の予定が、急きょ23~25人に方針転換。脱オシム流→オレ流宣言と、岡田ジャパンの動きはめまぐるしい。視察封印も迷走する指揮官の胸中を物語っている。【井上真】