【マナマ(バーレーン)26日=井上真、北村泰彦】岡田ジャパンの救世主に、日本代表GK都築龍太(30=浦和)が名乗りを上げた。GK川口が右ふくらはぎ肉離れを起こし、28日のアジア杯最終予選バーレーン戦の出場が絶望となる緊急事態。控えに甘んじることが多い都築が、約5年ぶりのAマッチ出場へ闘志を燃やした。01年にブラジルを完封したこともある実力派が、2月11日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦も見据えてアピールする。

 都築は殺気のような気迫を漂わせていた。楢崎に続き、川口も離脱する非常事態。バーレーン戦は自分がやる-。25日の非公開の紅白戦後、「いつも試合に出ることを目指してやってる。こういうこと(川口の離脱)があったからじゃなく、いつも準備はしているし、いい試合をしたい」と鋭い目つきで言った。

 Aマッチ出場は04年2月のマレーシア戦から遠ざかるが、実力は確かだ。G大阪時代の01年にはトルシエ元代表監督に招集され、初のAマッチとなったコンフェデレーションズ杯ブラジル戦で完封(0-0ドロー)。07年のACLでは浦和の正GKとして日本勢初Vへ導くなど、国際経験を積んできた。「試合ではいろんな状況を想定している」と、敵地の一戦にも怖いものはない。

 浦和では味方を怒鳴りつけてでも結果を求めるファイターだ。代表でも「DFには指示を出している。イメージどおりにできている」と自信をにじませる。岡田ジャパンでは昨年11月に初招集された。そのときは楢崎、川口という絶対的なGKがいる状況に、近い関係者に「試合には出られへんかもな…」とこぼしたが、地道にアピールを続けてきた。

 岡田監督は「残りの練習を見て決めたい」と明言を避けたが、チャンスはある。今季初戦の20日イエメン戦で先発した川島と遜色(そんしょく)ない。昨年11月のW杯アジア最終予選カタール戦ではベンチに都築が入り、川島が外れた。バーレーン戦で都築が試されれば、2月11日のオーストラリア戦に向けても選択肢が広がる。

 「試合に出たいという気持ちがなかったらいけない。自分が出るつもりでやっている」。チームの危機を救えば、評価は一気に上がる。闘志むき出しの都築が、レギュラーも見据えて日本のゴールを死守する。【北村泰彦】