セリエAで活躍するカターニャFW森本貴幸(20)が、6月のW杯最終予選で初めてフル代表入りする可能性が出てきた。20日、都内のJFAハウスで行われたキリン杯開催概要会見に、日本代表の岡田武史監督(52)が出席。2月8日ユベントス戦でゴールを奪った森本の試合映像を、欧州組の1人としてチェックしていることを明かし、招集の可能性を初めて口にした。W杯出場切符のかかる重要な時期に、岡田ジャパンの秘密兵器となりそうだ。

 カターニャの柱として存在感を高めた弱冠20歳に、岡田監督が注目しないはずがなかった。2月8日に中田英以来、日本人2人目となるユベントス戦ゴールを決めた森本について、はっきり「代表に必要だなと感じた時には、別にどの時点でも呼ぶ可能性はある」と答えた。他の欧州組と同じく試合映像をチェックし、代表候補の1人として意識していると明言した。

 6月のW杯最終予選までは、基本的に代表メンバーを大幅に変更しない姿勢の同監督も、FW陣は固定できない状況だ。11日オーストラリア戦では決定力不足を露呈した。「私は新しい者を入れないとは言っていない。代表のコンディション、ケガなどで変わっていく」と同監督。森本はセリエAデビュー戦となった07年1月アタランタ戦でいきなりゴールを決めたり、昨年12月ローマ戦で2得点など、大舞台に強い。日本のほかのFWにはない勝負強さが魅力だ。

 岡田監督は「(森本が)4~5日の合宿で今の戦術をパッとやるのは無理」と、3月28日バーレーン戦の招集には消極的とみられる。セリエA最終節が5月31日のため、キリン杯招集も難しい。現実的には、W杯最終予選の重要な3戦を控える6月となりそうだ。選手個人の評価を控える同監督が、珍しく「点を取ってカターニャでやっているのはFWにとって大切」と言及したのは、期待の表れだ。セリエAで好調を持続していれば、森本の岡田ジャパン入りは一気に近づきそうだ。【藤中栄二】