<東アジア選手権(女子):日本3-0台湾>◇11日◇東京・国立競技場

 日本女子サッカー界の新星、FW岩渕真奈(16=日テレ)が、代表初先発で2ゴールを決めた。台湾戦に出場し、前半36分にMF宮間あや(25)の折り返しを左足でゴール。後半14分にも左クロスから加点し、3-0の勝利に貢献した。女子サッカー関係者だけでなく、日本協会の原博実技術委員長(51)も絶賛する153センチのストライカーが、その実力を見せつけた。

 台湾ゴールをこじ開けたのは、16歳の岩渕だった。前半36分、右サイドを抜けた宮間からのパスに左足を合わせた。相手DFの間に走り込み、左サイドネットに突き刺した。2点目は左クロスを滑り込みながら蹴りこんだ。「パスが良く、合わせるだけでした」と謙そんしたが、ともに難しいゴール。佐々木監督も「初先発で2得点は非凡なものを感じる」と話した。

 初先発に「緊張して、ワクワクした」。中国戦から8人を入れ替えた若いチームで、攻撃をリードした。相手がゴール前を固めたために得意のドリブルを見せる場面は少なかったが、テレビのインタビューで約束していた「初ゴール」は決めた。それも2発。それでも「相手は引いているんだから、もっとできた」と、どん欲さを見せた。

 原技術委員長は「技術は素晴らしいし、これから楽しみ」と絶賛した。小学校時代、岩渕が武蔵野市・関町SCで2トップを組んでいたのが原氏の次男・玄さんだった。ボランティアのコーチに代わって直接指導したこともある原氏は「当時から体は小さかったが、たくさんゴールを決めていた。男の子の中で負けん気も強かった」と話した。

 MVPに輝いた08年のU-17女子W杯では、国際サッカー連盟(FIFA)のHPに「リトル・マナ」として紹介された。「マナ」とは旧約聖書の「天から神がもたらした食物」。岩渕は「神がもたらした」選手というわけだ。「なでしこの中心選手になりたい」と話す16歳が、その第1歩を台湾戦でしるした。【荻島弘一】