日本代表FW本田圭佑(24=CSKAモスクワ)の希望はかなわなかった。ザックジャパンの初代メンバー25人が9月30日発表され、アルゼンチン戦(8日、埼玉)と韓国戦(12日、ソウル)は「背番号10」をおかないことが、分かった。本田圭は、中村俊輔(32)からの10番継承を希望していたが、アルベルト・ザッケローニ監督(57)は容認しなかった。今回の2戦で、結果を残すことが「本田10」実現への最低条件となる。

 ザッケローニ監督が「本田10」にストップをかけた。ザックジャパン初陣となるアルゼンチン戦に、日本協会から空き番10に本田圭が推薦されたが、同監督は「まだ、彼に背番号10は荷が重い。もう少し様子を見よう」と返事した。

 ザッケローニ監督

 私は選手のコンディションをみてポジションを決めていく。私のチームに、絶対的なレギュラーの存在はおかない。私はここまで、そういう選手はおかなかった。今までも、チームにとって大切な選手は出てきたけど、絶対的なレギュラーをおくと、その選手にとってもよくない。

 9月のパラグアイ戦、グアテマラ戦で本調子ではなかったことが、ネックとなった。本田圭は2試合ともスタメン出場したが、パラグアイ戦では途中交代を命じられ、ベンチに戻らず、そのままロッカー室に入ってしまうなど、メーンスタンドで視察したザッケローニ監督にアピールできなかった。格下のグアテマラ戦でも、W杯南アフリカ大会でみせたような、傑出した力は発揮できなかった。

 いばらの道だ。日程的に、最高のコンディションを維持するのは難しい。9月30日に欧州リーグのスパルタ・プラハ戦、3日にリーグ戦のロストフ戦があり、日本に戻るのは4日の代表合宿初日になる。疲労の蓄積に加え、時差もあり「背番号10」への道は険しい。簡単には取れない。だからこそ、価値がある。

 希望がかなわないなら、力ずくで奪うしかない。今回は監督の要望で「背番号10」は誰にも付けさせない。船出となる試合で、エース番号をおかないのは、異例だが“自分の力で取ってみろ”との監督からのメッセージが込められている。「10番はどんな状況でもチームの勝敗に責任を持たないといけない」。中村俊が常々口にした言葉だ。厳しい状況でも、力を証明すれば、自然と「本田10」は現実となる。